2015年9月7日月曜日


ISEWANカップ第二戦 スタッフとしての雑感あれこれ

今回のISEWANカップ、初日は北東から南東までシフトする弱風コンディション、二日目は7~8mの順風から3m以下の破滅的な微風まで、ころころ変わるトリッキーな風と、定期的にやってくる雨という悪コンディションに、多くの選手が翻弄されていました。以前にレポートした大会と違い、今回の大会は、レース展開のかけひきの妙というよりは、コンディションの変化に応じた機材のチョイスと競技エリア全体のコンディションに対する読みで勝敗が決まった感があるので、その辺りを意識しつつ、雑感を書き記しておこうと思います。
未来はハイドロフォイルに?
今回目についたのは、ハイドロフォイルで参加する選手の増と、フォイルカイトのバリエーションの増。以前にレポートした大会では杉原選手と古田選手の2名しか参加の無かったハイドロフォイルですが、今大会では、参加選手16名のうち9名がハイドロフォイル。参考までにツインチップクラスが4名、レースポードが3名と続きます。ハイドロフォイルビギナーの一人として申しますが、やはり、一旦ハイドロフォイルの上に立ち、あの無抵抗の滑走感を味わったら、どんなに技量が拙かろうが、ハイドロフォイルで戦ってみたいと思うのが素直な気持ちであろうと思います。
ツインチップクラスはエントリークラスとして、カイトボードビギナーから参加出来るよう門戸を開くべきですが、他のクラスと同じコースで戦うのは、コンディションが悪化すると少々厳しそうに思えました。今後、もっとイージーなコース配置、ノービスクラスの新設など方策を施し、エントリーレベルの選手でも楽しめる工夫をしていったら良いのではと思います。
レースボードに関しては、参加選手の激減が顕著です。今回、あえて結果狙いでレースポードクラスをチョイス、確実にクラス優勝をさらった後藤選手のようなタクティクスもアリですが、欧州でも新しい製品や選手が出てこないと選手が嘆いておりました。現況少々旗色の悪いカテゴリーですが、依然IKAのシリーズ戦の主力の一つであり、オリンピック種目の候補カテゴリーの一つでもあります。また、今後、市場にだぶついて手に入れやすくなるであろう、中古レースボードを手に入れた人達に腕試しの場を提供するという役割も今後担っていくだろうと思います。
フォイルカイトの興隆
一方空中へと目を移すと、フォイルカイトの割合が圧倒的に増えてきました。以前のエッジ一色というような有様でクロノやR1が幅を利かせているというわけではなく、フライサーファー、エルフなど、他のブランドもほどよく混ざり(F1 ディアブロ Come on!)、健全な競技環境が整ってきたように思えます。ディストリビューター的には、そりゃぁオゾン圧勝が好ましいですが、そんな状態が続くと、競技自体が先細っていってしまうものです。各自がそれぞれ、自分が一番だと思う道具を持ち込んで死力を尽くし、その上で勝敗が決していくのが競技の醍醐味です。(もっとも、そうそう、”トップになりたければ、これに乗れ”というブランドの位置を譲る事はありませんけどね;-))
一方、そんなフォイルカイトもあらゆるコンディションでレース万能というわけでは無い、という事が明らかになったのが今大会でもあります。その辺りは別途後述。
競技&コンディションの展開
初日の予報は晴れ。午後遅くから南東の微風でしたが、予想外に早く風向きが変わり午前中からちょい北寄りの東風が弱いながらも入り始めました。初日はレスキュー艇要員が足りていたので、ビーチ待機であるのを良いことに、僕はレースが始まる前にクロノV2 15でハイドロフォイルのコソ練(全然コソじゃない!)。
実はクロノV2は安定感と操作性を高める為、微風側の飛行限界が広く取られている印象が有ったので、あえて、無理だろうと思われる微風でトライしてみたのですが、やはり、案の定、微風限界付近での安定性とスロカ・ハイドロフォイルの低速性能とで、R1も含めた他のフォイルカイトがまだ悪戦苦闘するコンディション下、なんとか走る事が出来ました。反面、クロノV2を試したR1乗りからはカイトの速度が伸びないというフィードバックをもらっているので、R1やクロノに比べて飛行速度域が低速側にシフトさせてあるのかな? という印象を持っています。ただ、この中低速域でいかんなく性能を発揮してくれるので、レースの戦い方がR1とは違ってくるんじゃ無いかな? と思っています。そのあたりはもう少し乗り込まないと判らないので、追ってレポートします。
そうこうする内に風が次第にあがり、選手が出始めたので、僕はビーチに上がりレース観戦とうちの若手選手のツインチップクラスデビュー戦のサポート。12時半からの第一レースは今大会中、一番レースらしいレースを杉原、竹田両選手が戦ってくれました。両選手、それぞれタクティクスも異なり、ミスなども交えながら、ゴールは肉薄する竹田選手を押さえきって杉原選手がトップゴール。川上選手がこれに続く制限時間内にゴールラインをカットして、この3名を除いた他の選手はDNF(時間内にゴール出来なかったので無得点)。ツインチップクラスはあまりの微風に、佐藤選手以外はスタートラインすらも通過出来ずに終了してしまいました。
続く第二ヒート、コンディションはさらに困難になり、第一ヒートで果敢なデッドヒートを見せた竹田選手がカイトを落とし、スタート前に戦線離脱。ギアを切り替え、ミスを警戒して流す杉原選手をスロカにボードを替えた川上選手が猛追。ゴールラインでは順当に杉原選手が逃げきり、トップゴール、続いて川上選手、米原選手が時間内にゴール。レースボードクラスでは後藤選手のみがゴール。ツインチップ・クラスはまたも佐藤選手以外はスタートにも困難する有様、もっとも、佐藤選手とはみんな使っている道具が違うので、奮わないのも当然と言えば当然なのですが…
ここで、一つ競技中にうちの若手に教えたアドバイスを一つ公開しておきましょうね。すごく基本的で簡単な事なのですが、競技中だと頭まっ白で気がつかない事がままありますので。
風向きの変化とコースの構成を良く見ましょうね
この日、多くのツインチップクラスの選手達がスタートラインを切る事が出来ず悔しい思いをしていました。その人達のうちどれくらいの選手がこの日、競技中に風向きが東北東から東南東にゆっくりシフトしていったことに気付いていたでしょうね?
朝方の東北東の風に合わせて、本部艇とスタートラインは、南北に延びる阿漕浦の海岸の、かなり南よりに設定されていました。風が東北東、あるいは東くらいだったら、スタートラインまで行くにはなんの苦労も有りません。でも、実は当日、風は徐々に南にシフトして東南東クロスになっていたのです。ということは、本部艇の位置までかなりアップウインドしなければスタートラインをカット出来ません。で、うちの若手は馬鹿正直に大会本部前から出艇して、死にものぐるいでスタートラインまでアップウインドしようとしていたのです。で、僕がしたアドバイスは単純明快「次のスタートまでにビーチの南まで歩いておきなよ。」というもの。その時間の風は海に向かって右クロスになっていたので、充分に南からスタートすれば、なにもアップウインド出来なくてもアビームでスタートラインをカット出来るからです。いったんスタートラインをカットさえ出来れば、その後、風のあるところを求めて移動できる海域は大幅に広がります。その広がった範囲の中からアップウインドが出来る領域を見つけて少しづつ、上に登っていくのが、微風コンディション下、ツインチップクラスのタクティクスでは無いかと思うわけです。というわけで、レースビギナーやこれからレースに出てみようと思っている皆さん。大会中でも常に風の変化を意識して、オーガナイザーの設定したコースに当てはめて考える習慣をつけましょうね。意外と全然しなくて良い苦労をしていたり、ちょっとした工夫で、それまでの失点を簡単に挽回できたりするのが、この手のコンディション相手のスポーツの醍醐味なんですから。
後編(二日目に続く)

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