2014年5月26日月曜日

エッジ2014インプレのつづき

2013 19.0で出ている間に、中だるみで風が落ちたのか、明らかにカイトのパワーが落ち、動きも遅くなった。実は内心「お! これは微風限界を試す良いチャンス!」と思い、急いでビーチに戻って今度は2014をあげてみる。あれ? 確かに風は落ちてるけど、でもまだ走れないほどじゃない。試しにスタートしてみるとちゃんと走れる。微風限界ぎりぎりでのエッジの挙動はこれまたクロノに非常によく似ている。振り下ろした時のパワーはそれほどでもないのに、そのカイトを戻して頭上に戻る時にグゥ~とパワーを発揮してくれるのだ。これを利用してボード上に留まり、二度目を力一杯振り下ろすと、進行風とあいまって一気にボードとカイトが走り始める。(こういう時は最大パワーを求めてフロントラインのトリマーをいっぱいまで伸ばすのでは無くて、カイト自身が走りやすいように5~10cmくらい引いてやると、かえって調子が良いって皆さんご存じでした?) 走り始めれば後はしめたもので、速度が乗れば乗るほど、エッジは快適にパワーを発揮してくれる。ハッと気付けば2013、19.0では少なくともアップウインドは到底無理だった風で普通にプレーニングしてアップウインドしている! もちろん飛べば大ジャンプとまではいかないが、普通に宙に浮くことに不自由は無い。もともとリフトが強いので、ポップも綺麗に決まり、大きなカイトにありがちな小技が出来ない不快感もまるで無い。やがて、再び風が上がってきて、ときおりブローでオーバー感を感じるようになってきた。すこし、強めのブローが入り、エッジを立てておくのが少ししんどくなった時にフロントライントリマーを2/3くらい引いてみた。するとどうだろう。パワーは一気に落ちて、エッジに力をこめる必要は一切無くなった。トリマーの調整にカイトは実に素直にそのパワーを増減する。こういう特性を見ると、19にはやはりフロントラインの調整幅の大きいレース・バーの方が相性が良いだろうと実感。そのまま、風が上がるのに合わせて13.0、9.0と試したかったのだけど、この後、入荷したエッジを各所に出荷しなければいけないので、テストはここまでで終了して帰宅。実はこの日は金曜日。出荷して土曜にお店に届くのと、土曜に出荷して日曜に届くのとではカスタマーやオーナーの喜びには大きな違いがありますからね!

翌日、ゼファーしか走っていない(それも下りながら…)風ながらはじめから13.0をセッティング。さすがに13.0の動きは軽快! 50cmバーでもダイレクト、かつスムーズにキュンキュン動く。試しにブルノッティ・ジェイド(オニキスに相当するレディスモデル)でスタートしてみると、いや確かにアンダーながら走れるし、アップウインドできる。実はこれ、伝統的なエッジ独特の特性で、ノーマルバーとのセッティングではほぼ”プレーニング出来ればアップウインド出来る、アップウインド出来ればジャンプ出来る”という性格を持っています(注:レースバーの場合、ダウンウインド・レグの為に走るけどアップウインドしない=ダウンウインドに都合の良い、レンジが設定されています。)。その伝統はさらに磨きをかけられており、13でありながら一緒に走っているゼファーより、むしろ調子が良いくらい。試しにカイトを貸してもらってゼファーで乗ってみたところ、確かにゼファーの方がパワーはあるのだけど、どうしても振り下ろしたカイトを戻して二度目を振り下ろすというサイクルがエッジ13よりも時間がかかってしまうので、うまくピークパワーを繋いでボードをスピードアップさせられないという感じでした。いったん進行風がかかってしまうと、そのディーゼルエンジンを思わせる安定したパワー感はピカイチなのだけど、いくら動きが良くなったゼファーとは言え、さすがに13.0には動きの速さで叶わないといった所でした。やがて次第に風が上がり、エッジ13ジャストになってくると、その楽しさはまた別次元、ありあまる滞空時間は自由にコントロール出来るし、それぞれの挙動のつながりのスムーズさはオゾンのラインナップ注でもピカイチ。クロノ18に驚かされた後に、15の楽しさに我を忘れさせられたのとそっくり同じ構図が19と13で体感されました。

エッジの今回もモデルチェンジは乗った人が全て口を揃えるとおり、乗り味そのものがごっそりと変わったフルモデル・チェンジと言って良いだろうと思います。変わったといっても、前の方が良かったという声はほぼ無いのでご安心を。僕も体感していますが微風域から強風域までどこでもスムーズ、快適に、同じような乗り味で楽しめます。実はエッジ2014はオゾンが新しく開発したソフトウイング用のCADソフトでデザインした最初のインフレータブルカイト(最初の”カイト”はクロノね)。この新しいソフトは、カイトが迎角を替えた時に起きるソフトウイング特有の変形まで考慮して計算出来るのが特徴で、このおかげでトリムを変えた時でもスムーズにパワーや操作性が変化するようにデザイン出来たようです。それでは、エッジは2013年モデルに比べてどういう方向に変わったのか? 僕は、これ、クロノに合わせてチューニングしたのだと思います。それくらい、エッジ2014はクロノに似ています。振り上げた時に発揮される大きなパワー、低速から発揮される太い進行風、安定した力強いリフト、これらはクロノ特有の特徴です。2013エッジは素晴らしいカイトでしたが、実はクロノから乗り換えると、特性が違うので少しそこでギャップを感じさせられましたが、レース目的で使うユーザーにはそれはちょっと具合が悪い。そこで、微風のクロノから強風ガスティのエッジまでシームレスに使える、クロノ由来の特性(たぶんプロファイル)を与えられたインフレータブル、それがエッジ2014なのだろう、というのが僕の結論です。ところで、冒頭、前の方が良かったという声の後に”ほぼ”がついている事が気になっている人がもしかしたら居るかな? 最後にそのあたりを詳しく解説しておきましょう。それぞれのサイズでサイズレンジに対して弱い風の中で飛ばした時、エッジオブザウインドで静止させたカイトを動かそうとすると、エッジ2014は2013よりも反応が悪かったり、場合によっては失速しそうな兆候を示す事があります。唯一この一点だけは2013の方が使いやすいなと思わせる部分です。全てにおいてグレードアップした2014エッジが唯一トレードオフに出したのはこの特性だったのでしょう。

2014微風カイト考:
さて、エッジ13がゼファーに匹敵した日にゃぁ、ユーザーは微風カイトに何を選べば良いの?! なんて声がどこからか聞こえてきそうなんで僕からのアドバイス。まず、絶対性能を追求するならクロノ。エッジ19を引っ張り出そうがどでかいボードに乗ろうがこれは揺るぎません。一番弱い風から鼻歌交じりで走り始めます。収納寸法も信じられないくらい小さいし、空気を入れなくてもいいのは本当に楽。でも扱いはしっかり学んでもらわなければいけないし、波の激しい海面だとか、ガスティ・シフティな風は正直苦手。それからビギナーには絶対向きません! エッジは13以上を微風用として使えると考えてもらって結構かと思います。パワー的には15がゼファーと同等くらいかな。13でゼファーと同等〜それ以上の性能を引き出すには(引き出せます!)乗り手のスキルもちょっと要求されます。従って、大柄でなくて、絶対的な微風域を追求せず、どちらかというとカイトの動きを重視する中級者以上のライダーはエッジ13がお勧め、価格もこのサイズだったらゼファーと同等です。後は体重や、狙っている微風限界に応じて15、17、19と選んでもらえば良いでしょう。ただし、ハイアスペクトの形状はウォーターリランチに際して、難しさを感じる場面もあるだろうから、カイトを落とすのがデフォルトのビギナーにはゼファーの方が良いでしょう。ゼファーは伝統的に認められたそのビギナーフレンドリーな特性がピカイチ。先代から引き続き、どれだけのビギナー達に、風波の立たないフラットな海面で練習する機会を提供して、ライディングの楽しさ、スキルアップの喜びを提供してきたかしれません。また、際限無いと勘違いされそうな強風側の風域の広さも大きな魅力。あらゆる場面で安定した性能を発揮する微風用のフリースタイル、フリーライドカイトの定番はやはりゼファーと結論して良いかと思います。

2014年5月20日火曜日

エッジ2014 インプレッション&微風カイト考


エッジの2014年モデルが発売開始されて、これでオゾンの2014ラインナップが全て出そろった。先日ようやく新しいエッジの19.0と13.0を使う事が出来たので簡単なインプレッションと、クロノが加わったこの夏の微風用カイトへの考え方をまとめておこうと思う。

2014エッジはグラフィックこそ変わったものの、一見従来モデルに比べて大きな変更が有ったようには見えない。実際開発サイドの説明でも様々なプロトタイプを試したが結局、従来モデルによく似た形に落ち着いたと語っている。それだけ、従来のエッジの形が洗練されていた事の証左であろうと考える。ところで、あまり知られていないであろうエッジにまつわるトリビアを一つ披露しておこう。実はエッジのブラダーセットは2011年モデルから2013年モデルまで全て共通。つまり、リーディングエッジの長さ、ストラットの位置などの基本配置は全く変わっていないのだ。さらに、2010から2011にかけての変更は逆止弁付きのバルブからボストンバルブへの変更だけなので、基本設計は2010年から4年間変わる事無く、激しい競技の世界で常に他社をリードし続けて来たという事になる。カイトという道具に付き合い初めてもう10年を越えるが他にこんな化け物じみたカイトの話は聞いた事が無い。では、4年ぶりのメジャーアップデートを経た新しいエッジの乗り味は変わったのだろうか? 早速実際に飛ばしてみた感想を書いていこう。

エッジ2014には新たにテイジンのダブルリップストップ素材、テクノフォースD2が採用されている。その為か、従来オゾンのラインナップにあまり見なかった、パープルカラーが加わり、見た目の印象もだいぶ従来モデルから異なるプリント中心のグラフィックになっている。左右非対称のグラフィックは多いに目を引くが、プリントの為、カイトを上げている本人目線からは結構のっぺりした印象になる。この点は生地を切り返してグラフィックにしていた従来路線の方が目を楽しませてくれた。おそらく、この変更は耐久性の向上と、僅かな縫い目すらカイトの上面に残さないための方策であろうと推測する。翼の上面では数mmの突起で翼に有害な乱流が出来てしまう。同じくひたすら性能を追求して作られた「クロノ」やバギー用レースカイト「クァンタム」にもカイトのコード方向を途中で断つグラフィックの為の切り返しが一切無い事でオゾンの開発陣の考えている事が見て取れる。

不安定な4~6mの夏を思わせる軽めの風で19を上げてみた。ランチングしてみると微風であるにも関わらずトルクフルなパワーを感じさせる。頭上に上げるとクロノを思わせるリフトがぐっと加わり、この時点でリフトの強いカイトである事を印象づける。あいにく、55cmバーが手元になく、50cmのコンタクトバーで飛ばしているのだが、この組み合わせだとさすがに反応は機敏とは言えない。ただし、操作に対する反応のズレや遅れのようなものは無いので、おかしな動きに悩まされる事は無い。ユーリ・ズーン・プロ132x40で走りだすと、もちろんなんの不自由も無く快適に走り出す。走り出して、あれ? と思った。風向きこんなだったっけ? 沖でリターンした瞬間気が付いた。普段はカタリストやレオに乗る事が多く、その感覚でイメージしていた風向きから想定されるラインよりもぐっと風上に向かって走っていった事で、風向きの認識に混乱が生じたのだ。もう一つ感じた印象は進行風のかかりの早さとトルク感の強さ。風下に引っ張られる感じとは違うのだが、パワーに有無を言わさぬ力強さを感じる。ちょいと飛んでみると滞空時間が異常に長い。もともと、エッジは滞空時間の長いカイトなのだが、それにもまして空中に居る時間が長い、この感じは…と思い返して、ここまで感じてきた全ての特性がよく似たあるカイトが頭に浮かんだ。「クロノ」である。安定したフラットなパワー、進行風のかかりの良さ、トルク感、異常なアップ角(ダウン角もね)と滞空時間。つまり、エッジ2014はクロノによく似た特性に仕上げられているのだ。

ここで、比較の為に2013エッジ19をあげてみた。瞬間、軽い衝撃に襲われた。「スカスカじゃん…」風速計の読み出しでピーク6mを告げていた風は、実は極めて不安定な軽い風で、平塚では8月に良く見られる、”沖に白波が見えるし、風はあきらかに感じられるけど、なぜかカイトがパワーを全然発揮してくれない超軽い風”だったのだ。実際に同じボードで走ってみると、なんとかだましだまし、出た所まで戻ってこられるけれども、2014エッジに比べると明らかにパワー不足で、その差はまるまるワンサイズ分くらいの違いが感じられたのだった。

つづく