2013年9月25日水曜日

映画を選り好みして見てはいけません

今、オゾンのディストリビューター・ミーティングに向かう途上、宿泊したパリの安宿にて、このブログを書いています。いや、何が有ったってわけでもありません。往路の機上で見た「華麗なるギャツビー」が、あまりにも素晴らしかったもので、映画部時代、先輩に厳しく言われ、僕も実践を心がけていた(学生時代ね)表題の言葉をしみじみ真実だなぁ、と思った次第です。

小学生の頃からSF映画が好きで、中学時代に「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」で、すっかり頭でっかちSF映画大好きオタクに仕上げられた僕の事なので、たとえ、その後に先輩方から、それはもう、厳しくジャンルにこだわらずになんでも見ろと指導され、映画の普遍的な価値は全くジャンルなどに縛られないという事が、存分に判った後でも、劇場に足を運ぶ時には「スラムドッグ・ミリオネア」ではなく、いそいそと子供を連れて「スタートレック」に行ってしまう父親だったりするのです。でも飛行機に長時間乗る時などに、さぁーっと興味を惹かれる作品を見てから、さて、まだ時間があるから…と思った時に、生涯記憶に残る素晴らしい作品に出会う事がしばしばあって、そんなときに表題の言葉を思い出すのです。 「ホテル・ルワンダ」「ブラック・ダイアモンド」「インビクタス」などは普段だったら絶対僕が劇場に足を運ぶことは期待できない作品だけど、生涯記憶に残る名作だし「ジェネラル・ルージュの凱旋」で堺雅人の演技の素晴らしさに触れたのも飛行機の中だった。で、今回「華麗なるギャツビー」にガツンと一発やられたわけです。

ロバート・レッドフォード主演でかつて映画化された際の邦題から”華麗なる”とされている作品ですが、原題は「グレート・ギャツビー」ですね。禁酒法時代末期の享楽的なニューヨークを舞台に、文筆家志望の青年の視点から謎の人物ギャツビーの過去と、その野望が明かされていく。なんてあらすじを書いてしまうと、どこにでもありそうなお話に思えるのですが、映画というのは所詮、見世物からスタートした芸術なので、もう魅せてなんぼなのですよ。この作品、絢爛豪華な建物や装飾、音響を駆使して、登場人物の肉感から現場の喧噪までを見事な臨場感で演出しています。自分があたかも20年代アメリカのニューヨークで、その乱痴気騒ぎに参加しているかのような錯覚を覚えますよ、ホント。また、微妙に現代アレンジが加えられているであろう、当時の音楽、スタイル、ファッションが超絶格好いい! うゎ、なんだこれ凄い…と思った瞬間、もう、あなたはこの映画に頭からどっぷりです。もう、着陸直前まで、まったくスクリーンから目が離せませんでした、僕の場合。また、役者が誰も彼もが好演で、もう何一つ隙が無い。この一本前に15分くらい見て、なんとも軽薄な設定と、主演の安っぽい演技に辟易して「あ、これはもういいや…」と見るのを止めた「図書館戦争」と好対照を成してます。また、作品のポイントポイントでフィッツジェラルドの原作との結びつきを強調する演出も、きっと原作ファンにはたまらないのででしょうね。僕も原作を猛烈に読みたくなりました。たぶん、次のアカデミー賞いろいろな部門で取るんじゃないかな。レオナルド・ディカプリオそろそろ主演男優賞取れるといいよね。良い役者なんだから。
 
この作品、男(女)一人で見に行っても良いですけどね、ここは是非、あなたの一番大切な人と観に行って、好きな人と一緒に居られる事がどんなに幸福な事かをしみじみ噛みしめてください。グループで観に行くと、見た後に作品を語る言葉が上滑ってしまって、滑稽に見えてしまう恐れがあるので、ダブルデートにはお勧めしません。言葉を発せず、作品の山場でそっと相手の手を握り、そのまま二人で手を繋いで劇場を出てくるのがベスト! 成功を祈る!

2013年9月19日木曜日

レオ2014レビュー!



レビューを投稿しようと思って管理画面を開いたら、前回イエローナイフのレポートを次回をお楽しみに! って締めて、放置していた事を発見…陳謝いたします…忙しかったんですよぉ。で、今回は続きではなくてレオの2014モデルのレビューです。時間取れ次第イエローナイフの続きは書きますので、まずは今回のエントリーをご覧ください。

レオはウエーブ用カイトとして、2011年夏にデビュー、2012年秋にプロファイル、翼平面型は変える事無く、細部のチューニングと補強に留まるマイナーチェンジを経て現在に至っている。今回、オゾンは、2014年モデルの第一弾として、レオをフルモデル・チェンジさせて発表してきた。一見、従来モデルと大きな違いは感じられないかもしれないが、実はコード(翼の前後長)が若干伸ばされ、ローアスペクトとなり、断面型やレイアウトにも手が入れられている。今回、このレオ2014の12.0を8.0を試してみたのでそのレビューを紹介します。

まず、3mに満たない微風の中で12.0を上げてみた。サポーターに手を放してもらった後に足早に風上に後退しないと、エッジごしにカイトを上げていく事すら出来ないほどの微風だ。ところがそんな微風だというのにレオはひとたび上がってしまうと、振り続けておけば、驚くほど安定して旋回を続けてくれる。旋回の速さ、旋回半径の小ささ、その間生じる安定したパワーは従来モデルの伝統を正統に継承、洗練させている。通常こういう旋回をするカイトは微風での操作に弱い。旋回を早めるためにカイトの両端の速度差が大きくなるので、内翼から失速に入ってしまう事が多いのだ。ところが、この極端な微風にも関わらず、いっこうに、そのような失速が気にならない。これは、今モデルチェンジで行われた、僅かなローアスペクト化が功を奏していると思われる。カイトが揚力を発揮できる下限速度がさらに引き下げられているという事だ(体感としては、弱い風でも失速しにくいという事)。

無理を承知で頭上にカイトを静止させてみると、少し粘った後にすーっとバックストールに入る。ここで、目に付いたのはラインテンションが怪しく抜けても、そのままノーズダイブすること無く、後ろに下がってくれる点だ。これには今季モデルからトレーリング・エッジに施されたちょっと厚めの補強が働いていると思われる。つまり、テンションが抜けた時にノーズダイブでは無く、バックストールに誘導されるよう、カイトの前後バランスを調整してあるのだと思われる。

そうこうするうちに風向が東に振れ、期待していた6~7mの風が入ってきたので、ブルノッティのディメンション138x41で出てみる。このボード、ツインチップだが、ロッカーが強めにかかり、アウトラインも丸みを帯びた波の中を走るのに適したモデルだ。(今回の目的はカイトを最大限に感じ取る事なので、慣れたツインチップで試しました。ディレクショナルボードでのレビューはウエーブ派のレビューを待ってくださいね。)体感で従来モデルからのパワーの向上は充分に感じ取れる。入り際で、まだ不安定な風は、ときおり、板に乗っているのが危ぶまれるくらいの微風にまで落ちたりするのだが、そんな時もカイトは安定して飛び続け、ぎりぎりとはいえパワーを供給しつづけてくれる。旋回の反応速度や旋回半径は、特に変わったという印象は無い。スムーズな動きは印象的だが、この点は旧モデルのユーザーも安心して良いだろう。

アップウインド性能も通常運転。レオはオゾンラインナップ中では、最もアップウインド性能で遅れを取るモデルだ。(といってもオゾンの他のカイトがアップウインド性能に優れるのであって、レオが一派的に見てアップウインド性能に劣るわけでは無いですからね!)ちょっと喩えで伝えてみよう。軽快にアップウインドしている時、カタリストは散歩が楽しくてしょうがない子犬のように「え? ご主人様スピード出すの? 僕はもっと速く走れますよ! もっともっと!」って感じで、どんどん前に出ようとする。エッジに至ってはツインチップでは到底追いつけない速度で、どんどん前に進もうとする。カタリストが元気なマルチーズだったら、エッジはワイマラナーというところか? でもトリムを伸ばして迎角を最大にして走りながらレオでアップウインドしようとすると、ちょっとカイトが遅れてくる感触がある。これはあくまで個々人の感覚なので、一概には言えないのだが、エッジやカタリストに慣れた僕には、「ん? 板はこんなに前に進みたいと言っているのに、カイトはまだそんな所に居るの?」という感覚がある。でも、これは、レオ特有の思いっきりダウンウインドしてもカイトがついてきてくれる特性の裏返しなので、とやかく言ってもしょうが無い。それに実は、このちょっとした特性もすっかり解消させる方法がある。とりあえず、パワーさえ足りているのなら、フロントライのトリマーを半分以上引いてやるのだ。そうすると、カイトは俄然元気を取り戻した子犬のように前に走り始め、板に遅れるような感覚は解消する。これは、本当に体感できるほどなので、すでにレオを使っているユーザーの方もアップウインドする時には試してみると良い。

やがて、風が次第に上がってきた。参考までに強風サイドの乗り味だが、一緒に乗っていた2011C4 11.0のユーザーがオーバーを感じて上がってきた時点で、レオ12.0はジャストのレンジ内だった。これは、同じライダーに試してもらっての体感を尋ねたもの。

今回ちょうど手元に2013モデル、レオ8.0の試乗機があったので、8.0を二機用意しての同時比較が今回の本命。まず、2014レオ8.0で一通りの事を試した後に、間を置かずに2013モデルを試してみた。これは結果をまとめて書いてしまおう。体感した違いは主に三つある。

一つ目は、旋回、パワーの増減、反応性など全てにわたるスムーズさの向上。これは本当にその場で比較しないと判らない事で、単体で乗ると2013も充分スムーズなのだが、2014を乗った直後に触ると、2013は、そこかしこにぎくしゃくしたものを感じてしまう。推測するに原因はより安定したパワーを発揮するアスペクトを抑えた新しい翼型の効果だと思う。翼の性能を示すポーラーカーブというものがあるのだが、これがよりフラットになって、左にシフトした感じだ。(なんのこっちゃ?! という人が大半だと思うけど、より低速でも高速でも安定してパワーを発揮するようになったということ。)で、そればっかり追求すると今度はデパワー時にパワーが思うように落ちない特性になってしまうのだけど(一世代前のデルタカイトはその傾向が顕著だったと思う。僕の私見ですけどね。)そこはしっかりパワーが落ちるように調整されている。風の強弱や、操作によるパワーの増減というのは、とりもなおさず、カイトの速度変化によって発生するものなので、よりフラットに、特に低速側に強いカイトはいろいろな場面で、ぎくしゃく感が解消されるのだ。レオ2014はまさにその部分に着目して、カイトを仕上げたという印象がある。

二つ目はデパワー時のコントロール性、レオ2014はトリマーを引いてデパワーした状態でも操作への追従性は損なわれる事無く、スムーズに反応してくれる。しかし、2013モデルはその状態だと、操作に対する反応が若干遅れ気味に、ところが動き始めるとピーキーに動くきらいがある。あまり使わないレンジなので、普段遣いでは気にならない事だが、意識するとはっきりと違う。思うにこれも新しい翼型の賜だろう。おそらく、レオ2014はポーラーカーブの低速側が伸びた分バーのトリム位置に対する迎角もより大きく設定してあるのだと思う。そのため、トリムを全部引いて、デパワーしても、まだ操作に的確に反応する範囲内に迎角が維持されているのだろう。

そして、三つ目はアンフック時の挙動。オゾンのラインナップでもC4やカタリストはアンフックした時でもカイトのパワーや反応性、旋回性がそれほど変わらないために、フリースタイル・ライダーに強い支持をいただいている。ところが、レオのアンフックは決してそれに互するものでは無かった。しかし、その特性をも、レオ2014はものにしている。あいにくテスターがアンフックしてあれやこれやをやるというほどの技量では無いので、感覚でしか無いのだが、アンフック時の挙動変化は、明らかに2013モデルよりも小さくなり、体感において、C4やカタリストのそれと等しい。波乗り専用デザインと謳われているレオであるが、実はツインチップで乗っても、とても楽しい。その上、アンフックもし易くなったとなると、これからは、ツインチップのフリーライド派のライダーで、たまには波のある海面で楽しみたいという向きにも、ぐっとお勧め出来る仕上がりになったと言える。

P.S. そうそう、今回組み合わせて試した、ブルノッティのディメンションは、そんな波乗りや、チョッピーな海面で楽しめるように仕上げられたツインチップで、フリーライド派のウエーブより、ツインチップユーザーにはレオとの組み合わせで実に楽しい一枚ですよ。10月頭に2014モデルが入荷予定なので、こちらもよろしく!