2013年12月9日月曜日

腹痛(ってわけでも無いか…)

 土曜にX-FLYの忘年会、日曜はリアルカイトの忘年会に出席して、食べつけない上等な品を食したせいか、今朝からお腹が不調。痛いわけでは無いけど、お腹を下していて、微熱があるようなけだるさで、体に力が入らない。あ〜こりゃ、あれだ、1996年のカステホン・ド・ソスで出くわしたあの症状の軽い奴だ。と気がついたので、コーラと炭酸水を買い込んで来て、さきほどからベッドに横になっている。で、ふと思い出したそのカステホン・ド・ソスでのエピソードが、これまた、大変だったのを思い出して、面白いから、いっちょ書き残しておくかと筆を取った次第。

 その年、僕は翌年に迫った1997年の世界選手権に備えて、開催予定地で行われたカステホン・ド・ソスのプレ・ワールド・チャンピオンシップに参加していた。天候にあまり恵まれる事が無かったこの大会では、最終日を明日に控え、まだ2ヒートしか成立していなかったが、翌日は競技が出来そうな予報が出ていた。ちなみに、僕ともう一人の日本人パイロットを除く他の日本人選手は飛行機の予定がどうにも折り合わず、最終日のフライトは放棄して、明日早朝に宿を発つ予定。当然のことながら、最後の夜はみんなで一緒に食事をして、明日帰国するメンツをからかったり、健闘を約束したりと楽しい夜を過ごした。もともと、スペインの食事が舌に合う僕は魚料理を頼んで、白身の川魚のワイン蒸しと思しき料理に舌鼓を売っていたわけだが、多分、これがいけなかった。

 翌朝、起きてみるとなんだか体が妙に重い。ずしんと腹に来る鈍痛とも、なんとも言えない重苦しさにトイレに行って見るも、下痢が便秘という感じの、なんとも苦しい状態。小腸が消化の働きを放棄しているもので、昨日食べたなにやら良くないものが、いつまでも腹の中に留まって、そんなわけだからトイレに行っても水しか出ないという大変苦しい状態。体中の力という力が全部お腹から抜けていってしまう感じで、とても数十キロもあるパラグライダー一式を担いで競技に参加する事など出来そうも無い勢い。

 しかし、ヨーロッパでのパラグライダー競技はたいがい、昼前後に競技が始まるので、朝はたっぷりと時間がある。ここは有り余る時間が味方とばかりに、ちょっと動いては休みを入れながら、いつもの3倍くらいスローに準備して競技会場へと向かった。パラグライダーの競技は通常だだっ広いテイクオフに思い思いにパラグライダーをセット、ゲートと呼ばれるテイクオフOKの時間に離陸して、スタートパイロン近くの空中で待機しながらレースがスタートするのを待つというのが、この当時の進行パターン。通常、ゲートは1時間くらい空いているのだけど、普段の競技では、僕はすぐには上げずに、あちこち移動して、その日のサーマルの出方や低い位置、高い位置での働きを確認してからスタートパイロンに移動するようにしていた。だから、普通だったらオープンと同時に離陸するのが常なのだが、この時はとてもそんな気力も体力も無し。ゲートが開くまでの時間をまるまる使ってグライダーをセットした後は使い果たした体力をハーネスの中でゆっくり養い、なんとかテイクオフ出来たのは1時間のオープンタイムのまるまる30分経ってから。で、苦行はテイクオフした後も収まらず。オーガナイザーのセットしたスタートパイロンはスーパーイージーで、ドンぴしゃの位置までたどり着くのに10分とかからなかった。雲の下で雲中飛行にならないよう、ぎりぎりの位置を飛びながら、「早く開いてさっさと終わりにしようぜ!」と内心毒づきながらレースがスタートするのを待っていたのだった。いや、ホントこの時の最後の数分とか、どれだけ永く感じられた事か。でも、閉じられたスタートパイロンがV字型に開き、それをカメラに納めてからゴールラインをカットするまでの数時間、(人間の体ってのはホントに不思議)すっかりお腹の具合が悪かった事など意識から飛んで、あまつさえ、盆地の山周り組を尻目に平地直進のショートカットを敢行して、セカンドパイロンはトップで回る好調ぶり。この後、一回しくじって地上数十m。もう一回でも右手のブレークコードに感じている確かなサーマルの感覚を逃してしまったら間違い無くランディング! というような場面でも、これっぽっちも「さっさと降りて体を休めたい。」とか「トイレ行きたい」とかの雑念が入り込んでくることは無かったのでした。余談ですが、永いパラグライダー人生の中で何度か遭遇したこういう、ワンミスで終わり、ひどい場合にはワンミス即死亡というような状況でグライダーを操作している時って、全く割引すること無い自分の全力を投入している実感があって、実はものすごく充実していたりするのです。たぶん、これは他のスポーツやアクティビティや生死の境を生還したひとにも言えるんじゃないかな。いざとなると人間ってすごい力を発揮するものです。

で、結局このヒートはトップに5分くらい遅れて10位でゴールして、順位をだいぶ挽回したのですが、問題は降りた後。地面に立った瞬間体力が全然残っていない事に気付きました…。しばらく、木陰でグライダーを畳むでも無くぐったり休んで数時間は動けなかった記憶があります。

 大会はこの日が最終日。オーガナイザーは午後9時から閉会式をやるっていうから、そのままランディングで待つことしばし、僕のフライトは翌日の午後遅くで、バルセロナまで車に便乗させる約束の他の日本人選手のフライトは明日早朝。てことは、今夜夜通しバルセロナまで運転して、明日は一日この体調でバルセロナ滞在か…と想像すると頭がクラクラしてきた。案の定、9時から始めると言われた閉会式は10時になっても始まらず(スペイン人の常ですが、当時は僕も初心だった)、一足早く始まったバーベキューも舌は美味しい事を理解しているが胃が受け付けず。とうとう、11時過ぎにはあきらめてバルセロナに向かう事にした。カステ・ホン・ド・ソスからバルセロナは約300km。これ以上引っ張ると下手をすると相方の飛行機に間に合わないかもしれないからだ。

 バルセロナには早朝に到着。相方を空港に降ろして、その後がまた地獄だった。この頃にはすっかり具合が悪くなって、明らかに熱がある感じで、集中力も途切れがち、そもそも、自分の体がどうなっているのか判らないのが不安で、居ても立っても居られなかった。で、一縷の救いを求めて向かったのは、とあるバルセロナのゲストハウス。実は同時期に転職を控えて充電期間と称してヨーロッパを一人旅していたパラフライヤーの女の子から宿泊先のネームカードをもらっていたのでした。でも想像してみて欲しい、ただでさえ道路が複雑で運転が荒いバルセロナの街で、まだ携帯もナビも無い時代、徹夜明けで体調最悪の僕が朦朧とする頭で住所だけを便りに一件のゲストハウスにたどり着くのがいかに大変だったか、そして、呼び鈴に応じた主人が日本語を喋ってくれて、部屋に居たその子が迎えに来てくれた時にいかに、その子が”女神”に見えた事か! 体裁や礼儀は一切捨てて、どこでも良いからとにかく横になれるところで休ませてくれ! という嫁入り前の娘にそうそう言う事の出来ないセリフを口にして、ここで、ようやくひとときの安息を得たのでした。鬼ちゃん、あのときは本っ当にありがとうね! 

その後体力が少し戻ったところでゲストハウスのご主人が連絡してくれた医者に行き、診断してもらうと、たぶん食あたりだろうとの事。食欲が出るまでとにかく水だけ飲んでろと言われ、実際その日の夜の帰国便中はおろか、帰国後もまる一日くらいは何も食べなかった。

後日医者の友人にこの時のエピソードを話したところ、集中している時は交感神経が活性化して、小腸の動きが収まるので、楽だったのだろうとの事。なるほど、人間は意識の生き物だなと感心したものでした。そんなわけで、ベッドでも出来る集中出来る事は何かと探して、今このブログを書いている次第です。おかげでさっきからだいぶ具合が良くなってきました。

2013年9月25日水曜日

映画を選り好みして見てはいけません

今、オゾンのディストリビューター・ミーティングに向かう途上、宿泊したパリの安宿にて、このブログを書いています。いや、何が有ったってわけでもありません。往路の機上で見た「華麗なるギャツビー」が、あまりにも素晴らしかったもので、映画部時代、先輩に厳しく言われ、僕も実践を心がけていた(学生時代ね)表題の言葉をしみじみ真実だなぁ、と思った次第です。

小学生の頃からSF映画が好きで、中学時代に「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」で、すっかり頭でっかちSF映画大好きオタクに仕上げられた僕の事なので、たとえ、その後に先輩方から、それはもう、厳しくジャンルにこだわらずになんでも見ろと指導され、映画の普遍的な価値は全くジャンルなどに縛られないという事が、存分に判った後でも、劇場に足を運ぶ時には「スラムドッグ・ミリオネア」ではなく、いそいそと子供を連れて「スタートレック」に行ってしまう父親だったりするのです。でも飛行機に長時間乗る時などに、さぁーっと興味を惹かれる作品を見てから、さて、まだ時間があるから…と思った時に、生涯記憶に残る素晴らしい作品に出会う事がしばしばあって、そんなときに表題の言葉を思い出すのです。 「ホテル・ルワンダ」「ブラック・ダイアモンド」「インビクタス」などは普段だったら絶対僕が劇場に足を運ぶことは期待できない作品だけど、生涯記憶に残る名作だし「ジェネラル・ルージュの凱旋」で堺雅人の演技の素晴らしさに触れたのも飛行機の中だった。で、今回「華麗なるギャツビー」にガツンと一発やられたわけです。

ロバート・レッドフォード主演でかつて映画化された際の邦題から”華麗なる”とされている作品ですが、原題は「グレート・ギャツビー」ですね。禁酒法時代末期の享楽的なニューヨークを舞台に、文筆家志望の青年の視点から謎の人物ギャツビーの過去と、その野望が明かされていく。なんてあらすじを書いてしまうと、どこにでもありそうなお話に思えるのですが、映画というのは所詮、見世物からスタートした芸術なので、もう魅せてなんぼなのですよ。この作品、絢爛豪華な建物や装飾、音響を駆使して、登場人物の肉感から現場の喧噪までを見事な臨場感で演出しています。自分があたかも20年代アメリカのニューヨークで、その乱痴気騒ぎに参加しているかのような錯覚を覚えますよ、ホント。また、微妙に現代アレンジが加えられているであろう、当時の音楽、スタイル、ファッションが超絶格好いい! うゎ、なんだこれ凄い…と思った瞬間、もう、あなたはこの映画に頭からどっぷりです。もう、着陸直前まで、まったくスクリーンから目が離せませんでした、僕の場合。また、役者が誰も彼もが好演で、もう何一つ隙が無い。この一本前に15分くらい見て、なんとも軽薄な設定と、主演の安っぽい演技に辟易して「あ、これはもういいや…」と見るのを止めた「図書館戦争」と好対照を成してます。また、作品のポイントポイントでフィッツジェラルドの原作との結びつきを強調する演出も、きっと原作ファンにはたまらないのででしょうね。僕も原作を猛烈に読みたくなりました。たぶん、次のアカデミー賞いろいろな部門で取るんじゃないかな。レオナルド・ディカプリオそろそろ主演男優賞取れるといいよね。良い役者なんだから。
 
この作品、男(女)一人で見に行っても良いですけどね、ここは是非、あなたの一番大切な人と観に行って、好きな人と一緒に居られる事がどんなに幸福な事かをしみじみ噛みしめてください。グループで観に行くと、見た後に作品を語る言葉が上滑ってしまって、滑稽に見えてしまう恐れがあるので、ダブルデートにはお勧めしません。言葉を発せず、作品の山場でそっと相手の手を握り、そのまま二人で手を繋いで劇場を出てくるのがベスト! 成功を祈る!

2013年9月19日木曜日

レオ2014レビュー!



レビューを投稿しようと思って管理画面を開いたら、前回イエローナイフのレポートを次回をお楽しみに! って締めて、放置していた事を発見…陳謝いたします…忙しかったんですよぉ。で、今回は続きではなくてレオの2014モデルのレビューです。時間取れ次第イエローナイフの続きは書きますので、まずは今回のエントリーをご覧ください。

レオはウエーブ用カイトとして、2011年夏にデビュー、2012年秋にプロファイル、翼平面型は変える事無く、細部のチューニングと補強に留まるマイナーチェンジを経て現在に至っている。今回、オゾンは、2014年モデルの第一弾として、レオをフルモデル・チェンジさせて発表してきた。一見、従来モデルと大きな違いは感じられないかもしれないが、実はコード(翼の前後長)が若干伸ばされ、ローアスペクトとなり、断面型やレイアウトにも手が入れられている。今回、このレオ2014の12.0を8.0を試してみたのでそのレビューを紹介します。

まず、3mに満たない微風の中で12.0を上げてみた。サポーターに手を放してもらった後に足早に風上に後退しないと、エッジごしにカイトを上げていく事すら出来ないほどの微風だ。ところがそんな微風だというのにレオはひとたび上がってしまうと、振り続けておけば、驚くほど安定して旋回を続けてくれる。旋回の速さ、旋回半径の小ささ、その間生じる安定したパワーは従来モデルの伝統を正統に継承、洗練させている。通常こういう旋回をするカイトは微風での操作に弱い。旋回を早めるためにカイトの両端の速度差が大きくなるので、内翼から失速に入ってしまう事が多いのだ。ところが、この極端な微風にも関わらず、いっこうに、そのような失速が気にならない。これは、今モデルチェンジで行われた、僅かなローアスペクト化が功を奏していると思われる。カイトが揚力を発揮できる下限速度がさらに引き下げられているという事だ(体感としては、弱い風でも失速しにくいという事)。

無理を承知で頭上にカイトを静止させてみると、少し粘った後にすーっとバックストールに入る。ここで、目に付いたのはラインテンションが怪しく抜けても、そのままノーズダイブすること無く、後ろに下がってくれる点だ。これには今季モデルからトレーリング・エッジに施されたちょっと厚めの補強が働いていると思われる。つまり、テンションが抜けた時にノーズダイブでは無く、バックストールに誘導されるよう、カイトの前後バランスを調整してあるのだと思われる。

そうこうするうちに風向が東に振れ、期待していた6~7mの風が入ってきたので、ブルノッティのディメンション138x41で出てみる。このボード、ツインチップだが、ロッカーが強めにかかり、アウトラインも丸みを帯びた波の中を走るのに適したモデルだ。(今回の目的はカイトを最大限に感じ取る事なので、慣れたツインチップで試しました。ディレクショナルボードでのレビューはウエーブ派のレビューを待ってくださいね。)体感で従来モデルからのパワーの向上は充分に感じ取れる。入り際で、まだ不安定な風は、ときおり、板に乗っているのが危ぶまれるくらいの微風にまで落ちたりするのだが、そんな時もカイトは安定して飛び続け、ぎりぎりとはいえパワーを供給しつづけてくれる。旋回の反応速度や旋回半径は、特に変わったという印象は無い。スムーズな動きは印象的だが、この点は旧モデルのユーザーも安心して良いだろう。

アップウインド性能も通常運転。レオはオゾンラインナップ中では、最もアップウインド性能で遅れを取るモデルだ。(といってもオゾンの他のカイトがアップウインド性能に優れるのであって、レオが一派的に見てアップウインド性能に劣るわけでは無いですからね!)ちょっと喩えで伝えてみよう。軽快にアップウインドしている時、カタリストは散歩が楽しくてしょうがない子犬のように「え? ご主人様スピード出すの? 僕はもっと速く走れますよ! もっともっと!」って感じで、どんどん前に出ようとする。エッジに至ってはツインチップでは到底追いつけない速度で、どんどん前に進もうとする。カタリストが元気なマルチーズだったら、エッジはワイマラナーというところか? でもトリムを伸ばして迎角を最大にして走りながらレオでアップウインドしようとすると、ちょっとカイトが遅れてくる感触がある。これはあくまで個々人の感覚なので、一概には言えないのだが、エッジやカタリストに慣れた僕には、「ん? 板はこんなに前に進みたいと言っているのに、カイトはまだそんな所に居るの?」という感覚がある。でも、これは、レオ特有の思いっきりダウンウインドしてもカイトがついてきてくれる特性の裏返しなので、とやかく言ってもしょうが無い。それに実は、このちょっとした特性もすっかり解消させる方法がある。とりあえず、パワーさえ足りているのなら、フロントライのトリマーを半分以上引いてやるのだ。そうすると、カイトは俄然元気を取り戻した子犬のように前に走り始め、板に遅れるような感覚は解消する。これは、本当に体感できるほどなので、すでにレオを使っているユーザーの方もアップウインドする時には試してみると良い。

やがて、風が次第に上がってきた。参考までに強風サイドの乗り味だが、一緒に乗っていた2011C4 11.0のユーザーがオーバーを感じて上がってきた時点で、レオ12.0はジャストのレンジ内だった。これは、同じライダーに試してもらっての体感を尋ねたもの。

今回ちょうど手元に2013モデル、レオ8.0の試乗機があったので、8.0を二機用意しての同時比較が今回の本命。まず、2014レオ8.0で一通りの事を試した後に、間を置かずに2013モデルを試してみた。これは結果をまとめて書いてしまおう。体感した違いは主に三つある。

一つ目は、旋回、パワーの増減、反応性など全てにわたるスムーズさの向上。これは本当にその場で比較しないと判らない事で、単体で乗ると2013も充分スムーズなのだが、2014を乗った直後に触ると、2013は、そこかしこにぎくしゃくしたものを感じてしまう。推測するに原因はより安定したパワーを発揮するアスペクトを抑えた新しい翼型の効果だと思う。翼の性能を示すポーラーカーブというものがあるのだが、これがよりフラットになって、左にシフトした感じだ。(なんのこっちゃ?! という人が大半だと思うけど、より低速でも高速でも安定してパワーを発揮するようになったということ。)で、そればっかり追求すると今度はデパワー時にパワーが思うように落ちない特性になってしまうのだけど(一世代前のデルタカイトはその傾向が顕著だったと思う。僕の私見ですけどね。)そこはしっかりパワーが落ちるように調整されている。風の強弱や、操作によるパワーの増減というのは、とりもなおさず、カイトの速度変化によって発生するものなので、よりフラットに、特に低速側に強いカイトはいろいろな場面で、ぎくしゃく感が解消されるのだ。レオ2014はまさにその部分に着目して、カイトを仕上げたという印象がある。

二つ目はデパワー時のコントロール性、レオ2014はトリマーを引いてデパワーした状態でも操作への追従性は損なわれる事無く、スムーズに反応してくれる。しかし、2013モデルはその状態だと、操作に対する反応が若干遅れ気味に、ところが動き始めるとピーキーに動くきらいがある。あまり使わないレンジなので、普段遣いでは気にならない事だが、意識するとはっきりと違う。思うにこれも新しい翼型の賜だろう。おそらく、レオ2014はポーラーカーブの低速側が伸びた分バーのトリム位置に対する迎角もより大きく設定してあるのだと思う。そのため、トリムを全部引いて、デパワーしても、まだ操作に的確に反応する範囲内に迎角が維持されているのだろう。

そして、三つ目はアンフック時の挙動。オゾンのラインナップでもC4やカタリストはアンフックした時でもカイトのパワーや反応性、旋回性がそれほど変わらないために、フリースタイル・ライダーに強い支持をいただいている。ところが、レオのアンフックは決してそれに互するものでは無かった。しかし、その特性をも、レオ2014はものにしている。あいにくテスターがアンフックしてあれやこれやをやるというほどの技量では無いので、感覚でしか無いのだが、アンフック時の挙動変化は、明らかに2013モデルよりも小さくなり、体感において、C4やカタリストのそれと等しい。波乗り専用デザインと謳われているレオであるが、実はツインチップで乗っても、とても楽しい。その上、アンフックもし易くなったとなると、これからは、ツインチップのフリーライド派のライダーで、たまには波のある海面で楽しみたいという向きにも、ぐっとお勧め出来る仕上がりになったと言える。

P.S. そうそう、今回組み合わせて試した、ブルノッティのディメンションは、そんな波乗りや、チョッピーな海面で楽しめるように仕上げられたツインチップで、フリーライド派のウエーブより、ツインチップユーザーにはレオとの組み合わせで実に楽しい一枚ですよ。10月頭に2014モデルが入荷予定なので、こちらもよろしく!

2013年3月23日土曜日

イエローナイフ・スノーカイト&オーロラ鑑賞トリップ報告






2年前に旅行代理店とのタイアップで試験的に開催したオーロラ鑑賞とスノーカイトをカップリングさせる旅行企画。あいにくながら、開催にこぎ着けるまで旅行代理店の方が存続せず、昨年の開催は成らなかったのですが、是非行きたいというメンバーのリクエストに応えて、ただいま、イエローナイフに来ています。
1〜2日目
成田からカルガリーを経てイエローナイフに入った僕らはホテルにチェックインした後に、早速その日からオーロラ鑑賞のベースとなるキャビンへ。ところが、今回は予め予報を見て危惧したとおり、前半は低気圧の圏内に入ってしまって、空には雲が重く垂れ込めてしまいオーロラどころでは無し。それでも午後1時過ぎまで待ってホテルに戻り明日に備えます。オーロラ鑑賞は深夜12時から3時くらいにまで及ぶ事が多く、翌日スノーカイトを楽しむ僕らは睡眠時間が少なくなるのが悩みの種。それでも時差ボケ混じりの強烈な眠気を吹き飛ばすがごとく、翌日は朝からほどよい南風。現地のスノーカイターと合流する約束を取り付け、グレートスレイブ湖のアイスロードへ出発。風は弱めなりに安定した3〜4mの南。初日としては、まずまずのコンディションで午後3時くらいまで、各自ライディングを楽しみました。まずまず、満足のいった初日のスノーカイトに比べ、その晩のオーロラは初日に続き、雲に覆われ今ひとつ。残念ながら二晩連続の敗退となりました。
3日目
三日目は低気圧の最後の谷が通り過ぎ、夜からは晴れる予報。みんなのマインドもすっかりオーロラ勝負に傾いて、昼間は朝から犬ぞり体験に浮気心を出すものも出る始末。しかし、それも当然、その日の予報は日中でやっと北風4k/h。僕もスノーカイトに出る事は勧められません。空いている時間の犬そり体験を予約した後に、スノーカイト組を引き連れて、アイスロードに繰り出すも、風は1m程度の微風。周辺の観天望気からも、予めチェックした天気図からもポジティブな見方は出てこなかったので、あっさり諦めて午後は自由行動。夕方から犬ぞり組が出動するパターンで夜のオーロラに備えました。
ブレイクアップ
夜も序盤は少々停滞気味。遠くに見える雲を指してあれがオーロラじゃないか? なんて過ごしたのは最初のうち、オーロラ待ちも三日目ともなると慣れたもので、昼間仕入れたトランプを広げ大貧民大会。罰ゲームは昼間食べたベトナム料理レストランの付け合わせに出たなぞの”きなこヌードル”(激マズ!)。そうこうするうちオーロラ出現の報を受け、小屋の外へ。空にはうっすらとオーロラが横切り、みんな歓声を上げるが、もちろんブレイクアップを体験した事のある者にはこんなものはただの序盤に過ぎない事は先刻御承知。しばらくすると徐々に消えてきてしまったので、再び小屋に大貧民の続きをしに戻る。その日の終了時刻も近づいて、あれで終わりかなぁ…と諦めかけた頃、北西の空に新たなオーロラが出現。弱いながらも空を横切る長大な光の帯は、よく考えてみると人間が観測する最大の気象現象なのでは? そのスケールも一つオーロラが人々を魅了する理由の一つなのかも、とか思いながら鑑賞するうちにオーロラが徐々に頭上に近づいて来る。「あ、これはブレイクアップするかも?」と思い、注意してみていると次第に強くなってきた光の帯は、降り注ぐ雨のようにうねり、その姿を変えながら僕らの頭上へやってきた。以前のレポートにも書いたがその時みんなの口から出る言葉は「凄い!」の一言。確かに陳腐な言葉でこの体験は表現出来ない。ブレイクアップは僕らの頭上でうねりながら数十分にわたり続き、初日としては充分美しいオーロラを全員が体験出来たのでした。嬉しかったのは、参加者の何名か、カイトに出会い、この時間を過ごせた事にお礼を言ってくれた事。僕は別に大した事はしていないのだけど、みんなの心に深くしみこみ、そんな言葉を口にさせてしまうオーロラという天体現象は鑑賞なんて言葉ではなくて体験と表現する方が適切だと常々思う。このレポートを読んでオーロラに興味を持った方は、是非、写真や、映像でそれを鑑賞して終わるのでは無く、一度、宇宙から降り注ぐ光の帯の下にその身をさらしてみて欲しい。目で見るだけでなく五感で感じる体験が、下手をすれば人生観さえ替えてしまいかねない、圧倒的な力で迫ってくるのをきっと体験出来ると思うから。
さて、ここから度は後半戦。オーロラ予報もスノーカイトも予報は好転。日中のスノーカイトに備えて今夜はもう寝ます。皆さん続きのレポートをお楽しみに。

2013ゼファーインプレ


ゼファー2013インプレッション
 先日やっとじっくりゼファー2013に乗る機会を得たのでインプレなど。
 カイトをセットアップして最初に得た感想は、持った時にすでに感じられる軽さ。このテスト後にすぐに試乗希望の販売店に送ってしまったので、重量の比較はまだしていないけど、確実に前モデルよりも軽量化が施されている。ざっと見たところ外見上の違いは、チップが絞り込まれて、エッジのような翼端になったこと、ストラットが細く、バックラインの取り付けが2点から取ったものを一本にまとめる形になったことなど。それ以外には特に大きな変更は見て取れないが、メーカーによると、プロファイル、平面型ともに全面的に新しくデザインしなおされているとのこと。実際に飛ばしてみると、バープレッシャーは軽く、ターンの反応は素早く、切り返しも早い。2012年モデルと比較してみたところ、静止した状態からターンを始めた時の反応は旧モデルも変わらず早いのだが、そのカイトを切り返した時に差が歴然と生じる。その事がライディングにもたらす変化については後で詳しく触れる。飛行中の安定感は増した印象。この前日試した時は、ときどきスポットで抜ける大変不安定な風だったが、終始カイトを落とす事は無かった。
 第一日目:
 ビーチは沼津。西風が変に回り込んで、南西で吹き込む大変怪しい風の中スタート。2012ゼファーで仲間がライディングしていたが、風が落ちたので、あきらめて休憩をしている中スタート。確かに風は足りない。カイトのトラクションはしっかり感じられるが、水に入ってスタートのためにボードを履くと、浮いた体を波に風下方向に持って行かれて、カイトを落としてしまうことがしばしばあるレベルの微風だ。やはり2013ゼファーでも、それだけの微風になると取り扱いに気を遣うが、安定感は高く、その状態からの振り下ろし操作にも反応が明らかに旧ゼファーよりも早い。ボードに立ち上がって、速度を得るために二度三度と振ると、カイトの進化は歴然と現れる。ゼファーは、そのデビュー当時、それまで考えられていた微風用のビッグカイトとしては考えられない操作の軽さ、反応の早さが今日の微風用”17平米”ブームを作ったと言えるが(実際、どれだけのメーカーがゼファー以降微風用の”17平米”オンリーモデルを作ったことか…)、それでもぎりぎりの風の中、カイトを素早く振ることで進行風を稼ぐという使い方をするには反応と失速性能に自ずと限界があった。つまり、最初の一降りで、プレーニングに入れられなければ、振って速度を稼ぐことは少々難しかったということだ。ところが、新しいゼファーはそれが出来る! この日もボードを少し下らせて、カイトをがんがん振ってやると、気持ち良くプレーニングに入れる事が出来る。旧ゼファーは同じコンディションでもプレーニングに入れる事は難しい。だが、しかし、一つ覚えておいて欲しい事がある。つまり、この状態ではさすがに”下る”ということだ。よくゼファーと比較されるエッジだが、エッジの特性として、”プレーニングできればアップウインド出来る。アップウインド出来ればジャンプ出来る”というのがある。実際、乗り手の技量さえあれば、エッジは13で17クラスと同等の微風性能を発揮する。しかし、最大パワーでやっとプレーニングに入れられる風でゼファーを飛ばした時、アップウインドする事はかなり困難だ。つまりゼファーにはプレーニング出来るけどアップウインドは出来ない風域が存在するという事を頭に入れておこう。この後風は不安定さを増し、沖合でほおっておいたらカイトが落ちるレベルまで風が落ちたことも何度かあったが、2013ゼファーはなんとか粘って一度も落とすこと無く飛び続けてくれた。確信を持っていうが旧モデルなら確実に落としていたと思う場面が一度ならず有った。
第二日目:
 翌日、平塚ビーチパーク、風は南4〜5m。ゼファーのテストにはもってこいのほどよい微風。早速フルパワーで走り始める。カイトの安定感、反応の良さはすでに述べた通り、この日強く印象づけられたのは、ちょっとした波越えのジャンプやポップで感じられる垂直方向のリフトの強さ。飛ぶのは、格段に易しく、楽しくなっている。カイト操作とポップのタイミングが合うと、微風でも高く、滞空時間の長いエアーが簡単にできる。アンディ・イェーツのゼファー・ビデオを見て、え? ゼファーでこんな事出来たんだ! という驚きがあったが、なるほど、この2013ゼファーだったら出来そうだ(僕がアンディのやっていた技をこなせるという意味では無い…)。アップウインド性能は、まずまずではあるが、エッジや、カタリストのごとく”何これ?!”というように驚ろくレベルでは無い。2013ゼファーはフリースタイルや波乗りを意識して、エッジ・オブ・ザ・ウインドゥよりも少し後退したところを飛んでいるそうだから、当然だろう(それが安定感に繋がっているのも事実)。試しに同じライン上をトリムを15cmくらい引いて走ってみたら、登り角が10度くらい上がった。フリーライドの場面などでは、トリムを引いて上に登っておいて、フルパワーに戻して、フリースタイルや波乗りを楽しむという使い方が効率良さそうだ。
総合:
旧ゼファーは、ビギナーや中級者が微風の日の穏やかな水面で存分に練習してスキルアップするのに最適なカイトだったが、上級者目線からすると、動きの速さや軽さ、特に切り返しの反応に不満を残すものだった。そのあたりの向上が今回のモデルチェンジの最大の改良点で、翼端部分の軽量化が寄与していると思われる切り返しの反応の早さ、ぎりぎりの風でも飛び続けようとする失速限界の向上、垂直方向へのリフトの向上など、これまで、乗れるけど、ぎりぎりの風ではあまり遊べない…という意見のあった旧モデルとは異なり、微風でもたっぷり遊べるカイトとして、新しい息吹を与えられている。およそ、あらゆる場面で今までもよりぐっと楽しんでいただける素晴らしいデザインに仕上がっ2013ゼファーだが、唯一お勧めしない使い方がある。それはレース…。アップウインドのレグで、きっとエッジの後塵を拝して悔しい思いをするだろうから、レースに出る事を考えている方は、悪い事は言わない、エッジを選ぶ事をお勧めします。

2013年1月7日月曜日

スノーカイト・キャンプ美ヶ原 2013/1/5~6






新年第一弾スノーカイト・キャンプは美ヶ原。最近、白樺湖周辺は僕がスノーカイトを始めた頃に比べても明らかに雪不足気味で、霧ヶ峰に充分な雪が着くには1月下旬を待たなければならないため、どうしても序盤は美ヶ原が連投になってしまう。さて、いつもの面子とX-FLYで合流して、長野に向かう。天気は快晴。風は平地ではほぼ無風だが、標高2000mの美ヶ原の風を地表の、それも谷筋の風で一喜一憂しても意味は無い。現地に着くと案の定すでに南より3~5mの南風が吹いており、早く着いた東京発組がカイトを準備していた。
すでに走っていたメンバーの使用カイトは、エッジ17、エッジ13、フレンジー11.0。僕らが着いた時点の風速では、そこまで大きいカイトである必要は無さそうだったが、彼らがセットした時にはもっと弱かったという事だろう。ということは風は上がり調子。僕は迷わずフレンジー9.0をセットした。実は今回スクールの予約が入っていなかったので、シーズン前に仲間と検討した雪上でのレースをやってみようと思っていたので、ちょこっと走って風の感触をつかんだらさっさとスタート地点に戻って、スタートマーカーの準備を始めた。そうこうする内に、遅れていた昨年受講の卒業生も到着し、さて、いよいよと思って皆の様子を見ると、なぜか風上で皆ボロボロとカイトを落としている。実は美ヶ原の風の癖として、昼前後に中だるみで風が落ちることがしばしばある。せっかく準備をしたのだが、これではレースどころでは無い。三々五々帰ってきた先行組にレースのルールを説明していると、そのうち、再び風が上がってきた。ところが上がってきた風は、今度は一気に10m近くまで吹き上がり、エッジ17や13は、おろか、ピークではフレンジー9.0でも厳しいほどにまで上がってしまった。ビギナーには手に余るので、アクセス4.0を用意したり、インフレータブル組がスモールサイズに張り替えたりして乗るものの、風はかなり強弱が激しい上に、南南東と南南西が交互にシフトする若干安全性に懸念が残る状態だったため、全員がいっせいにスタートするレースはあきらめて、午後いっぱいフリーライドを楽しんで5日は終了とした。
ライディング後、温泉にて体を温め、最近恒例になりつつある、Σ氏の焼いてきてくれるDVDで「赤ペン先生のエロメール添削講座(傑作!)」での映画紹介の後「ミッション8ミニッツ」を鑑賞。これ実に面白いけど、相当なSF好きで無いと作品全体を正しく理解出来ないような気がする。
さて、一夜明けて日曜は朝から快晴ではあるものの、低気圧が南北に配置されてしまう無風疑いの予想気圧配置が見事に当たってしまい、風は南西の超がつく微風。無理無理フレンジー9.0で少し走ってみるも、すぐに完全な無風に…。やむを得ないので、翌週の3連休を楽しく過ごすために、レース用のマーカーの設置練習をしたり、キッカーを作ったりして、なお凪が続いたために、フィールド脇の斜面でハイクアップ&スノボを楽しんだ。歩いて登り返すのは、それはしんどいけど、この日は林間に実に気持ちの良いパウダーの面を発見して、あまりの気持ちよさに、約70m程度の面を4本のぼり返してまぁ良い運動になりました。無風時のオプションとして、これはアリですね。一方、ひたすら風を待っていた組は午後3時近くなってようやく入ってきた3m程度の微風を捉えて小一時間ほど微風ライディングを楽しむことが出来ました。次週は3連休で美ヶ原連投。すでにスクールや参加予約が入っているので、賑やかになりそうです。