2010年3月9日火曜日

アカデミー賞

アメリカではアカデミー賞が発表されて、「ハートロッカー」が「アバター」を抑えて作品賞を含め6部門受賞で圧勝だったとか…
元夫婦対決は元妻の勝ちっていう話題でもちきりだけど、
ちょっと違う視点で見るとイルカ漁批判の「COVE」の長編ドキュメンタリー部門受賞も含めて、今回の結果は日本人としてちょっと微妙な気持ちで受け止めています。
別に陰謀論を展開するつもりは毛頭無いけどアカデミー賞がアメリカ政府、アメリカ国民に漂う”空気”を反映させることはアメリカ国民が選ぶ賞である以上当然です。
その点、異文化との接触を現場とする点で共通項を持つこの二作品のうち、アカデミー委員会がどちらを選ぶかというのは興味深い点でした。
実は寡聞にして両作品とも未見なので、偉そうに語るのは早いのですが、
あらすじを見る限り、「ハートロッカー」はイスラム文化と接触したアメリカをアメリカの立場に立って描いているようですよね。
もちろん戦争肯定か否定か、人間重視か事件重視か、それをどう描くか、どの視点で描くかで作品の印象は全く変わってしまうので深くは語りませんが、
主人公らの視点がアメリカ側であるという点は、これはもう間違いありません。
一方、「アバター」は異星人に潜入した地球人の視点だけど、主人公の視点は異星人の側ですよね?
それも異星人の異文化礼賛的な内容なのでは?
つまり乱暴な区分ではあるけれど、異文化受容と異文化否定という分け方をした場合、今回の受賞は異文化否定の側が勝利したとも言えるわけです。
そして、伝統的な異文化であるイルカ漁を完全にアメリカの立場で否定的に描いた「COVE」の受賞と合わせると、アメリカが今、
異文化を受容する余裕を失っているのではないかという懸念が生まれるのです。

で、トヨタの問題、クロマグロの取引規制の問題、一般教書演説でオバマ大統領が新幹線に関する話題で日本の新幹線に触れなかった問題、
今回のアカデミーの結果などを考え合わせると、当面アメリカの日本への風当たりは決して優しくないな…という結論に達しざるを得ないのです。
別にアメリカの後をしっぽを振って追いかけるべきだと声高に訴えるつもりはありませんが、
主権国家として、毅然と周辺国家に単独で張り合っていくには今の政権は底なしに頼りないんだよなぁ(嘆息)。

そうそう、もう一つ違う視点で見たときに、受容的な傾向の強い女性原理的な映画「アバター」を男性であるジェームズ・キャメロンが撮って、
使命遂行、異文化の拒否の傾向の強い男性原理的な映画(と決めつけるのは未見である以上僭越ですが…)「ハートロッカー」が、
女性であるキャスリン・ビグローに撮られているというのは面白いです。
とりあえず、両作品とも時間をとって見てみたいとは思いますが、その上で田嶋陽子氏の見解なんか聞けたら面白いだろうなぁ。

ちょっと今回はカイトに全然関係ない話題でしたが、朝のニュースを見ていて思った事をつらつらとつづってしまいました。