2015年10月26日月曜日

競技者の目線から
10月24、25日と滋賀県佐波江、ローカス琵琶湖店のビーチで行われたJPKAカイトレーシング・オールジャパン琵琶湖に行ってきました。今回は現地に行ってみたらスタッフの手が足りている模様だったので、この機会にと思い、急遽TT(ツインチップ、以下TT)クラスでエントリーさせてもらいました。前々から一度選手として走って、選手目線での大会風景、何が選手に求められているか、勝つための戦術などを体験、検証してみたいと思っていたので好機と思った次第です。というわけで、今回は自分のレースに集中しまくったので、滅茶苦茶TTクラスに偏ったレポートです。もちろん、フォイルボードクラス、レースボードクラスとも相変わらず熱い戦いが繰り広げられたのですが、すみません、見ていなかったので、割愛ご容赦ください。今回はTT特集です(笑)。
10月24日
24日は午後3時くらいから風が上がってくるという予報に併せて、準備が進行しましたが、レースボード、ハイドロフォイルはなんとかアップウインドが取れるものの、ツインチップではビッグサイズのラムエアー&微風用160x48クラスのボードでやっとアップウインドが取れる状態。今回手持ちのカイトは最大クロノV2 15.0に、ボードはアクシス、パトロール148x47、この組み合わせだと、この風ではアビームで走るのがやっとという状況。セッティングが出ないで上げあぐねていた谷口選手のクロノ18のセッティング出しをして、すいすいアップウインドしていくのを見送りながら、「はっ…俺もしかして競技者目線では、まんまとライバルに塩を送っちゃった?」などと思っているうちにスタート10分前のフラッグが上がり、スタートシークエンスが否応無く始まってしまいました。今大会からスタートラインはスタート開始から4分間で閉じられるようになったため、もたもたしていたらスタートすら切れなくなってしまいます。ここで幸いだったのはひたすら遠浅が続く佐波江ビーチの地形。風向きが若干スタートラインに対してクロスしていたので、遠浅のビーチをぎりぎり沖まで歩けば、スタートラインをアビームで切れる位置まで移動できたのです。からくも時間内に下側のスタートブイぎりぎり内側を通ってスタートした後は、そのままひたすら沖までレグを伸ばして、アップウインド出来る風を探しますが、レース的には膨大な時間を費やして帰ってきたら同じ所(涙)…。今度はコース東側を深くまで探っていくと、位置的な状況なのか、時間的な問題なのか、若干アップウインドが取れ始めました。基本的に河口があるとサーマルウインドはそこに収束する傾向があるので、日野川の河口がワークしているなと思い、その辺りを主戦場にアップウインドしていくとじわじわと上マーカーに近づき始めました。僕のセットでそんな状況であれば当然、カイトもボードも大きいライバル達は余裕で上マーカーを廻ってダウンウインドレグに入っています。「あ?あ、競技デビュー第一ヒートはDNF(規定時間内にフィニッシュラインを切れないこと)かぁ。」と嘆きつつ、でも明日の練習も兼ねて時間をかけてでもコースは回っておこうと思い、じりじりアップウインドしていると次第に風が上がり、なんとか、コースを回る事は出来ました。ちなみに、このヒート、そこまでの絶望的に弱い風に、レースは無いだろうと思って岸に上がっていた多くの選手がスタート・シークエンスの開始を見落として、DNS(規定時間内にスタート出来ず)の憂き目をくらい、波乱の幕開けとなりました。
10月25日第一ヒート

24日の夕方から吹き上がった風は一晩中吹き続け、25日は朝から木の幹が揺れるほどのど強風。各選手とも、ここまで吹き上がる事は想定していなかったので、朝から使用するカイトの選定で大わらわ。僕は用意しておいたクロノV2 7.0を杉原選手に、エッジV8 7.0をX-FLYの若手に渡して、自身は杉原選手のエッジ2015 7.0を借り、ボードはアクシス、ヴァンガード137x42で出艇しました。事前の練習で、この日、このセットだと、コースの西側、風が吹き抜けているエリアは若干オーバーで、ブローが来るとエッジが抜け気味になる事がわかっていたので、自分の主戦場はコース東側と決めていました。問題はスタート方向で、本当はコース西側からポートスタート(風を進行方向左側から受けてスタートラインを切る事)したかったのですが、どのレベルでスタボースタートの選手とかち合ってしまうのか経験が不足している事(かちあってしまったらスタボーの選手が優先)、またデビュー戦でいきなり奇策をとって外しても格好悪いな…との思いからスタボースタートを選択。ただ、集団に巻き込まれると間違い無く、動きが取れずに、行きたくないコース西側に連れて行かれるので、わざと最後尾からスタートして、スタートラインを切った直後にターン。ポートスタート組に合流するという策を取ってみました。快適な一人旅でアップウインドレグをこなし、折り返すと、おそらくトップを走っているであろうTTクラス常勝の佐藤選手と良い位置で交差したので、タクティクスの正しさを確信し、上マーカーを佐藤選手とほぼ同時に周回。すぐさま、トリムを伸ばし、カイトをダウンウインド方向に加速させながらダウンウインドレグに入る…と意外な事に気がつきました。佐藤選手が追いついて来ない…。勝手な想像をさせてもらうと、佐藤選手はこの日、サイズの準備が無かったのか、ソニックではなくて、スピードあたりかな? レース専用チューニングでは無いであろうカイトを使っていました。意外と皆さん知らない方が多いと思いますが、レース用カイトというのはアップウインド性能だけでは無くて、ダウンウインド性能も考慮してチューニングが施されているのですが、ライン・テンションが緩むとカイトの形が保てないラムエアーカイトでダウンウインド向けチューニングを施していないものは、急激なダウン・ウインドに著しく弱いのです。逆にこちらはダウンウインド性能とセッティングをすでに良く知っているエッジに、実は事前のフリーライドでチョッピーな海面でのトップスピードとダウンウインド時の安定性で非凡な性能を発揮する事を確認していたヴァンガードの組み合わせなので、ダウンウインドの速度差はかなり有っただろうと思います。ダウンウインド・レグでの速度差が確認出来た事で、この後のヒートはだいぶ楽になりました。要はアップウインドレグで大差をつけられなければダウンウインド・レグで抜けるからです。抜き返される心配が無くなった時点で、安全運転に切り替えて、危なげなくトップゴールして第一ヒートは終了でした。
第二ヒート
第二ヒートはスタート直前で佐藤選手がカイトを落とすというトラブルに見舞われ出遅れたため、だいぶ楽に回れました。でも敵もさる者、谷口選手が僕の第一ヒートで取った策を見抜き、同じようにスタート直後にターンして同じコースを走り、上マークまで結構良いペースで食らいついてきました。しかし、いかんせん、この日谷口選手の使っていたカイトはRPM。エッジを相手にレースの場で勝負したら、不利は免れません。結局ゴールまで背後を脅かされる事無く、第二ヒートもトップでゴール。この辺りで、「4ヒート出来て、昨日のレースをカットできたら優勝の目があるな…」という見通しが立ってきました。でも、ちょっと油断してしまったか、次のヒートは「やっぱり、甘くは無いな」と思い知らされます。
第三ヒート
第三ヒートは少し油断が有りました。多少マークされていた事もあるのか、集団の中でスタボー・スタートをする状況になってしまったのです。一瞬迷った隙に佐藤選手に上側に離され、隙を見てターンして、いつものコースに戻ったものの、後れを取ってしまいました。アップウインド・レグでは佐藤選手にアドバンテージがあるのが判っているので、後は焦らずに出来るだけ離されないよう、進めますが、今回ひたすら失敗続きだった上マークの見切りがここでも甘く、無駄に上まで回りすぎ、上マークを回った時にはすでに佐藤選手はダウンウインドレグを3分の2ほど下っている状態。猛然と追いましたが、キャッチアップは叶わず、このヒートは2位。勝ち越すには次の第4ヒートを1位でフィニッシュする事が必須条件になりました。
第4ヒート
クラス優勝とは言え勝敗を分けるヒートだから、そろそろ我を張ってイイよね? と自分の中で納得した上で、第4ヒートは端からポートスタートの体制で待機しました。もちろんライバルが放っておいてくれるわけもなく、谷口選手はきっちりポートスタートの位置に入っています。佐藤選手は少々迷いでも有ったのか? スタート時間を誤ったのか? ポートスタートながら若干下側からスタートを切りました。この時点での佐藤選手のタクティクスはアップウインドレグで出来るだけ僕を引き離す事。僕のタクティクスはダウンウインドレグで追い抜ける位置で上マークを回る事です。ところが、スタート時のアドバンテージに助けられて良い位置で上マーク直前まで行ったのにもかかわらず、またもや、つい上マークの見切りに失敗して、佐藤選手が上マークを回るのを目の前にしながら微調整を強いられる羽目に…「あ?、こんな大事なヒートで! 俺のバカバカ!」とか思いながら猛然と上マークを回った時点で、佐藤選手はダウンウインドレグの約3分の1を進んだところ。直前のヒートの経験から、この差はキャッチアップ可能と判断して、猛然と追走を開始し、ぎりぎり下マークを回る所で佐藤選手を捉え、マークを廻りざまに交わす事に成功。アビームレグのトップスピードは確実にこちらの方が速い事が解っていたので、そのままトップススピードでフィニッシュラインをカットして、大会通算での勝ち越しに成功しました。
TTクラス優勝
さすがに朝からの連続4ヒートで、体力的にしんどくなってきたのでゴールした後、大の字になって水上に浮かびながら、次のヒートに備えて体力を回復させます。いつまでもプカプカ浮いていても迷惑なので、一休みしたら、他のクラスの動向などを見ながらコース外を流していると本部艇にスタート延長の旗が揚がりました。ブイの位置でも動かすのかな? と思っていたら、ビーチに戻る事を指示する旗が揚がりました。ビーチで尋ねると、これ以上風が上がると、マークブイを回収出来なくなる恐れがあるので本日のレースは終了とのこと。この後延々続くと予想していた佐藤選手との優勝争いに備えて、温存しておいた体力と集中力がすっと抜けて、かくんと膝が抜けました(笑)。

今回、初めてカイトのコースレースというものに自ら参加して、選手目線で、その楽しさ、難しさを体感出来た事は大変貴重な体験となりました。やっぱり、実力が伯仲する選手と互いの手の内を探り合いながらぎりぎりの戦いを繰り広げるのはたまらない面白さがあります。JPKAのこのレースシリーズでは、来季、4戦を計画し、新人が楽しく戦って帰れるようノービスクラスの新設も考慮したレギュレーションを準備しているようです。少なくとも、そのクラスでは、普段レースに参加していないカイトボーダーの装備やスキルでも、こういったレースの楽しさを体感して帰れるものになるはずです。これを読んで、「あ、ちょっと面白そう!」と思ったカイトボーダーの皆さん、来季は是非カイト・コースレースにチャレンジしてみてくださいね!



2015年10月5日月曜日

スロカ・カーボン・ハイドロフォイル ファーストインプレッション





スロカから届いた新しいカーボン・ハイドロフォイルを昨日試してみたので、現時点で感じられた印象などをまとめてみました。
まず全体的なラインナップとスペックから。従来モデルのアルミニウム・ハイドロフォイルは、主翼にグラスファイバー製イージー・ウイング、胴体はアルミニウム、尾翼もグラスファイバー製で形状は全モデル共通、マストは80cmのアルミ製です。そして、今回入荷してきたカーボン・ハイドロフォイルは主翼にカーボン製インターミディエイト・ウイング、胴体はチタン、尾翼もカーボン製ですが、形状は変わらず、そして、マストは95cmのカーボン製です。今回の荷物では、それ以外に、グラスファイバー製インターミディエイト・ウイングが入荷しました。これはカーボンモデルの主翼と形状は同じで素材がグラスファイバーになったアルミニウム・ハイドロフォイル用のオプション・バーツです。最終的なラインナップとしては、これに、カーボン製レース・ウイングが加わってカイト用ハイドロフォイルのラインナップが完成予定です。
さて、主翼の形状や各パーツの重量はオゾン・カイト・ジャパンですでに書いたので、今回は早速乗り味から。まず取り回し、地上で持ち歩く時やスタート前の取り回しですが、カーボンモデルになったからといって、決して軽くはなっていません! 主翼と尾翼は確実に軽量化されて、マストも15cm長くなったにもかかわらず、150g軽量化されていますが、いかんせん、胴体をアルミ(比重2.7)>>> チタン(比重4.5)に変えているので、カーボンで稼いだ軽さを全て相殺してしまっています。え〜、じゃ何故チタン?? という意見についてはブルーノに聞いておきますね。ちなみに、なぜ胴体をカーボンにしないのか? については、主翼を支える構造の強度に全幅の信頼を寄せられないという判断だそうです。たしかに、国内のハイドロフォイル・ユーザーを見ても、ネジの締めすぎなどで、負荷がかかって壊れてくるのは、この胴体部分のようです。また、ハイドロフォイル部分の重量が軽すぎても不安定になるという意見もあるようです。
スタート前のビーチからエントリーする段階で、15cm伸びたマストの影響は早速出て来ます。単純な話、より深いところまで移動しないとスタート出来ません。身長172cmの僕の場合、お腹の上あたりまで水深があればOKだったのが、胸の深さまで必要になります。僅かにこれだけの差ですが、浮力体を身につけ、カイトに体を釣られながらエントリーするとき、この付近の15cmが、どれだけ大きな影響を与えるかはカイトボーダーならすぐわかりますよね。もちろん、ボディドラッグで深いところまで移動してしまえば、なんら問題はありませんが、ハイドロフォイルのボディドラッグを習得していないビギナーにとって、マストの長さ80cmはやっぱり意味のある長さだと思います。
スタートから滑走に入るまで全体的なフィーリングはイージーウイングとそれほど変わりません。特段難しくなったとも感じられないし、劇的に速くなったり、動きがキレキレになったりという事もありません。いくつかの明かな変化を除いては…
まず、長くなったマストの効果、これは顕著です。ボードの高さ調整を多少ルーズにしても、フォイルが水上に出てしまう心配が無いので、楽にライディングが楽しめます。もっとも、これは当たり前の話。明かな変化の1つは、ウイングの速度と浮力の関係です。イージーウイングでは速度が増すと、自然に浮力が増し、ボードが浮き上がります。さらに速度が上がると、浮き上がろうとするボードをがっつり押さえて走らなければならないので、特にアップウインドレグで速度を上げたい時などは、結構脚力とバランスコントロールを要求されます。その点インターミディエート・ウイングは浮力(ボードの高さコントロール)と前進速度がイージーウイングよりも独立しているフィーリングで、たとえば、極端な話、ボードを水につけたまま結構な速度まで安定して走り続ける事が出来ます。スポッツを借りた時にオーナーが、ボードを浮かせるのに単純に速度を稼ぐのでは無く、一度浮かせる操作を入れてあげてから高さを調節して滑走に入るというアドバイスをくれましたが、まさにその感じ。よりハイスピードで自分の好みの高さを維持して走れるという印象です。明かな変化を感じたもう一点は、浮いたまま進路を変えていく時の安定性の向上。イージーウイングは直進は極めて安定していてイージーなのだけど、ターンに入る時の挙動が速度によって変化して、少し予測しきれないところがあり、ジャイブやダウンウインドからアップウインドへの切り替え操作の練習(速度に乗せたダウンウインドから急激にアップウインドに切り替えると余分な浮力をもてあまして制御が難しい)などに少々難しさを感じていましたが、インターミディエート・ウイングはその点、ぐっと操作性と安定感が増しています。
たぶん、こう書くと、きっと、なぁんだ、じゃ最初からインターミディエート・ウイング(orカーボン・モデル)で練習すればいいんじゃない? と思う向きも多いかと思います。ま、それも1つの手段ですが、もし、まだハイドロフォイルに乗った事が無い人がそう考えているとしたら、ハイドロフォイルの練習を始める段階でいかに自分が何も出来ない状態からスタートするかを甘く見ているかもしれません。
まず、自分の定番ビーチを思い浮かべてみてください。スムーズに深い所まで移動出来るところならマストが80cmである必要はないかもしれません。それでもなお、スタートする前にウイングに足をぶつけて切ってしまう可能性は95cmの方が高いです(ボード下80cmに比べ、95cmはより足が広範囲に動く位置になります。実際これまで80cmで一度も切った事が無い足を今回ちょっとぶつけて切ってしまいました。)。なんとかスタート位置まで移動してウォータースタートした後に、速度が乗れば自然に浮いてきてくれるウイングと、浮かせる操作が必要なウイングとでは、どちらがビギナーにとって楽かは一目瞭然です(ビギナーは一度浮かせる操作をしたら、だいたいフォイルが水上に飛び出すまで浮かせちゃいます。)。だから、よほど自身があるので無ければ、ハイドロフォイルは素直にビギナー用の装備から練習を始めた方が良いと思います。心配しなくてもスロカの製品はビギナー用からレース用までパーツの交換で徐々にアップグレードしていけます。
今回はレッスンの合間に15分程度、それぞれ2回乗った上でのインプレなので、まずは雑白な第一印象のみ。ところで、この二回目のライディングですが、風が落ちて、レッスン終了し、沖に出ていたゼファーやエッジもほうほうの体で引き上げて来て波打ち際にボトボトカイトを落としている状態で出艇。クロノV2 15.0で普通に走る事が出来ました。微風限界の強さはイージーウイングから変わらず健在です。もっとも上がってきたらさすがのクロノも飛び続ける事が出来ずにくしゃくしゃになって落ちてしまいましたが(^_^;)

2015年9月9日水曜日

ISEWANカップ DAY2
二日目の競技の行方を決定した最も大きなファクターは天候であったと言っても過言では無いでしょう。9月6日の気圧配置は停滞前線のちぎれた中部地区の西から、前線上の低気圧が徐々に近づいて来るというもの。昨日から北東よりの風が吹き続けて気温は低く、先行する雲に覆われ日照は無く、サーマルアクティビティは期待出来ない。となると風を吹かせる要素は、前線に沿って発生し通過していく雨雲によるもので、これは、雨とセットで吹いては降り、晴れては止むという不安定な繰り返しになるだろうと僕は予想していました。ところが、会場に到着してしばらくすると、それまでの無風とは一変して7~8mの東風が吹き込んで来た。僕の予測は吹いたり、止んだりを繰り返しながら、雨とセットで強さはせいぜい4~5m止まり。何かの突風で瞬間最大で強めが入る可能性はあるかな? というものだったので、朝いきなりの、この風は全く予想外。「まぁ、偉そうな事言っても外すときゃ外すな…」と思いつつ準備を整え、レスキュー艇に乗り込み、ちょい荒れ気味の港外に乗り出して行くと、港を出た時はひどく大きかったうねりが何か、収まってきている。ありゃりゃ? と思ってあたりを観察すると明らかに風が落ちてきている。あ〜予想が当たったけど、これはありがたく無いなぁと思いつつ西の空を観察すると朝真っ黒だった雲は姿を消し、薄明るい雲に覆われていました。天候についてまとめておくと、この日はこの後も、レースが出来そうなくらい風が上がると雨が来て、通り過ぎるとまた風が落ちてを繰り返し、選手達を翻弄しました。実は風が強いタイミングは吹き始めると約30分程度続き、吹かない時間のインターバルはサイクルが無いという事までは観察して、沖で吹き始めた時点で本部に指示出しすれば、吹いてる30分以内にヒートをこなす事が出来ないだろうか? とも考えていました。ですが、沖で吹き始めたタイミングでスタート時間を指示しても、まだ岸には風が到達していないので、そもそも選手が出艇する事が出来ない。うーむ、これはお手上げ…と思いつつ。成り行きに任せてレースを見守っていました。
もう一つ、この日、ユニークであったファクターは機材の逆転現象でした。最終レーストップを獲得した川上選手が使用していた機材は出場選手中最もビギナー向け設定のスロカ・ハイドロフォイルにカイトはカタリスト! つまり、コンディションによっては、最高性能を誇るラムエアーカイトや競技用ハイドロフォイルも、ただのお荷物になりかねないという教訓を孕んだレースだったのです。
第3レース:逆転の下ごしらえ
長いウェイティングの後に始まった二日目最初のレースは、スタートこそ主要選手が切れたものの、落ちてしまった風とカイトの重量を重くしてしまう雨とで、延々タックを繰り返しても、なかなか選手が上マーカーにたどり着かない、珍しいレース展開になりました。前日までトップを走っていた杉原選手は重量増で失速しやすくなったR1 15を、それでも、なんとか落とさずに走るものの、微風に強いセッティングのスロカとクロノ18を使う川上選手に追いつくことは叶わず、最初の上マーカーを川上選手がトップで周回。そのまま逃げ切るかと思いましたが、どこかで米原選手にかわされたと思しく、このヒートは米原選手がトップ、その後に川上選手、杉原選手と続き、後はレースボードクラスまで含めて、フィニッシュ出来た選手は無しという結果になりました。これほど難しいヒートであるにも関わらず、ツインチップクラスでフィニッシュした佐藤選手は、さすがにお見事。オゾン・チームによるゴール独占を自ら阻むあたり、フライサーファー・チーム監督の意地か、はたまた長年ラムエアー一筋の絶妙なカイト操作のなせる業か? ともあれ、ライバルチームの監督に相応しい活躍でした! 実は今大会、川上選手の優勝を確定させる事になる最初のきっかけがゴールの直後に起こっていました。杉原選手がゴール後に気が緩んだのか、大会本部から離れた本部艇付近のビーチにカイトを落としてしまったのです。沖合でこの様子を見ていた僕は「あ〜、もうR1 15は使えない…」と思いました。軽さが命のラムエアーカイト、水に落ちたくらいでは、扱いが難しくなる程度ですが、濡れた状態のままビーチに落とし、砂がついてしまうと、全くもってただのお荷物になってしまうのです。それでも晴れている日だったら、砂を払い落とし、少しの間飛ばしておけば、表面が乾いて砂が落ちてくれるのですが、中途半端に雨の降るこの日、表面を強い雨が洗い流してくれるでもなく、乾いてくれるでも無い状態では、砂が落ちる事はありません。つまり、この時点で杉原選手は即座にスタンバイさせてあったエッジ13にカイトを切り替えるべきだったのです。
第4レース:ひっくり返った世にも珍しいレース
第4レースのリザルトを見ると、ある事に気がつきます。二位の武田選手だけ自信が無いけど、他の順位がついている選手は全て最初からインフレータブルで戦っているか、インフレータブルにカイトを切り替えた選手達です。川上選手はカタリスト、古田選手はエッジ、赤土選手は機種は判らないけど、インフレータブルに切り替えていました。さらに、トップの川上選手にいたってはボードもビギナー向けセッティングのスロカ・ハイドロフォイル。つまり、通常だったらアドバンテージになるはずの、フォイルカイトがこのヒートではディスアドバンテージになり、通常ならば速度で他のウイングに譲る、ビギナー向けウイングがアドバンテージとなったのです。
ではなぜ、このような逆転が起こったのでしょう? 実はこの日、雨という要素の他に波という要素も勝敗に大きく影響したと思うのです。この日、朝イチの強風からの流れで、このビーチにしては珍しくビーチにはひっきりなしにひざ〜腰くらいの波が押し寄せていました。ハイドロフォイルに乗った事の無い人にはピンと来ないかもしれませんが、弱い風の中、遠浅でオンショア&波が入る中、ハイドロフォイルでスタートするのって、かなり困難なのです。ご存じのとおり、ハイドロフォイルには1m近いマストがあります。通常ならば、腹から胸くらいの深さまであれば、難なくスタート出来るのですが、波があると海面自体が40~50cm上下するわけで、この中、オンショアの風で有効水深まで沖に出ていくのはエキスパートにとっても大変だったと思うのです。その中、ビギナー向けにマストの長さを80cmに抑えてあるスロカは明らかにスタートで有利だったことでしょう。それは前日の練習においてスポッツを借りた時にも体感しました。実際、杉原選手も自らのレポートでスタートに手間取った事で焦りが出たと述回しています。考えてみると、ラインナップが揃えば、状況に応じてマストを80cmと95cm、Fウイングをレース、インターミディエート、ビギナーと組み替えられるスロカって、意外とレース向きじゃないかね? と意外な側面を発見した今レースでもありました。 
一方、カイトについてはやはり雨が逆転を引き起こしました。もともと、ある程度重い翼を強引に飛ばすよう設計してあるインフレータブルは、軽さを前提にデザインされたフォイルカイトに比べて、雨に濡れて重くなってしまった場合でも性能の下げ幅が少ないのです。おまけに仮にビーチに落として砂がついてしまっても、海にわざと落として砂を流すという荒技が使えます。
そのようなコンディションは、第4レース、スタート直後に結果となって現れました。後れを意識してポートスタートした杉原選手は、そのまま南に寄りすぎて、おそらく海岸の障害物からの乱流に叩かれたのでしょう、カイトをたたき落とされてしまうのです。本人は謙遜してタックに失敗と言っていましたが、遠目ながら、あれは明らかに乱流の影響でした。やむをえません。まぁ、あえて、本人の失敗を指摘するとすれば、それは、タックそのものではなく、南東クロスの風の中、障害物に近い南側、奥深くまで入り込んでしまった判断そのものです。明らかにリランチは無理と思われたのでレスキュー艇を走らせたため、レースの展開は判りませんが、結果を見ればだいたいの様相は検討がつくというもの。武田選手を除けば、インフレータブルにカイトを切り替えなかった選手は全クラスを通じて全滅です。
この最終レースでの結果が決定打となって、川上選手の逆転が確定しました。レースって一見地味だけど、個々の選手の思いやタクティクス、コンディションの読みが加わるとさらに奥深く、面白くなっていきます。たとえば勝負に”たられば”は禁物ですが、あえてルールを破って、もう一本レースが出来るコンディションが続いていたとしたらどうでしょう? 当然杉原選手はカイトをエッジに切り替えて臨むでしょう。そして、5本目が成立した時点で、1レースをカット出来るので、杉原選手は完全に落とした第4レースを外す事が出来ます。川上選手も悪いレースを落とす事が出来るので、ほぼ、次のレースで勝った方が優勝をものにするという展開になったはずです。僕が思う本当に強い選手というものは、ここから先の神経をすり減らすつばぜり合いをミス無く最大のパフォーマンスで戦い続けられる選手であり、そういった戦いを通じてこそ、選手互いの信頼と尊敬が築かれていくというものです。まだまだ、参加人数も少ないし、オーガナイザーのご苦労も大変であろうとは思いますが、この面白さ、参加者の熱さが少しでも多くの人に伝わり、多くの参加者に集まってもらえるよう、僕もなるべく時間を見つけてレポートをまとめるよう心がける次第です。

2015年9月7日月曜日


ISEWANカップ第二戦 スタッフとしての雑感あれこれ

今回のISEWANカップ、初日は北東から南東までシフトする弱風コンディション、二日目は7~8mの順風から3m以下の破滅的な微風まで、ころころ変わるトリッキーな風と、定期的にやってくる雨という悪コンディションに、多くの選手が翻弄されていました。以前にレポートした大会と違い、今回の大会は、レース展開のかけひきの妙というよりは、コンディションの変化に応じた機材のチョイスと競技エリア全体のコンディションに対する読みで勝敗が決まった感があるので、その辺りを意識しつつ、雑感を書き記しておこうと思います。
未来はハイドロフォイルに?
今回目についたのは、ハイドロフォイルで参加する選手の増と、フォイルカイトのバリエーションの増。以前にレポートした大会では杉原選手と古田選手の2名しか参加の無かったハイドロフォイルですが、今大会では、参加選手16名のうち9名がハイドロフォイル。参考までにツインチップクラスが4名、レースポードが3名と続きます。ハイドロフォイルビギナーの一人として申しますが、やはり、一旦ハイドロフォイルの上に立ち、あの無抵抗の滑走感を味わったら、どんなに技量が拙かろうが、ハイドロフォイルで戦ってみたいと思うのが素直な気持ちであろうと思います。
ツインチップクラスはエントリークラスとして、カイトボードビギナーから参加出来るよう門戸を開くべきですが、他のクラスと同じコースで戦うのは、コンディションが悪化すると少々厳しそうに思えました。今後、もっとイージーなコース配置、ノービスクラスの新設など方策を施し、エントリーレベルの選手でも楽しめる工夫をしていったら良いのではと思います。
レースボードに関しては、参加選手の激減が顕著です。今回、あえて結果狙いでレースポードクラスをチョイス、確実にクラス優勝をさらった後藤選手のようなタクティクスもアリですが、欧州でも新しい製品や選手が出てこないと選手が嘆いておりました。現況少々旗色の悪いカテゴリーですが、依然IKAのシリーズ戦の主力の一つであり、オリンピック種目の候補カテゴリーの一つでもあります。また、今後、市場にだぶついて手に入れやすくなるであろう、中古レースボードを手に入れた人達に腕試しの場を提供するという役割も今後担っていくだろうと思います。
フォイルカイトの興隆
一方空中へと目を移すと、フォイルカイトの割合が圧倒的に増えてきました。以前のエッジ一色というような有様でクロノやR1が幅を利かせているというわけではなく、フライサーファー、エルフなど、他のブランドもほどよく混ざり(F1 ディアブロ Come on!)、健全な競技環境が整ってきたように思えます。ディストリビューター的には、そりゃぁオゾン圧勝が好ましいですが、そんな状態が続くと、競技自体が先細っていってしまうものです。各自がそれぞれ、自分が一番だと思う道具を持ち込んで死力を尽くし、その上で勝敗が決していくのが競技の醍醐味です。(もっとも、そうそう、”トップになりたければ、これに乗れ”というブランドの位置を譲る事はありませんけどね;-))
一方、そんなフォイルカイトもあらゆるコンディションでレース万能というわけでは無い、という事が明らかになったのが今大会でもあります。その辺りは別途後述。
競技&コンディションの展開
初日の予報は晴れ。午後遅くから南東の微風でしたが、予想外に早く風向きが変わり午前中からちょい北寄りの東風が弱いながらも入り始めました。初日はレスキュー艇要員が足りていたので、ビーチ待機であるのを良いことに、僕はレースが始まる前にクロノV2 15でハイドロフォイルのコソ練(全然コソじゃない!)。
実はクロノV2は安定感と操作性を高める為、微風側の飛行限界が広く取られている印象が有ったので、あえて、無理だろうと思われる微風でトライしてみたのですが、やはり、案の定、微風限界付近での安定性とスロカ・ハイドロフォイルの低速性能とで、R1も含めた他のフォイルカイトがまだ悪戦苦闘するコンディション下、なんとか走る事が出来ました。反面、クロノV2を試したR1乗りからはカイトの速度が伸びないというフィードバックをもらっているので、R1やクロノに比べて飛行速度域が低速側にシフトさせてあるのかな? という印象を持っています。ただ、この中低速域でいかんなく性能を発揮してくれるので、レースの戦い方がR1とは違ってくるんじゃ無いかな? と思っています。そのあたりはもう少し乗り込まないと判らないので、追ってレポートします。
そうこうする内に風が次第にあがり、選手が出始めたので、僕はビーチに上がりレース観戦とうちの若手選手のツインチップクラスデビュー戦のサポート。12時半からの第一レースは今大会中、一番レースらしいレースを杉原、竹田両選手が戦ってくれました。両選手、それぞれタクティクスも異なり、ミスなども交えながら、ゴールは肉薄する竹田選手を押さえきって杉原選手がトップゴール。川上選手がこれに続く制限時間内にゴールラインをカットして、この3名を除いた他の選手はDNF(時間内にゴール出来なかったので無得点)。ツインチップクラスはあまりの微風に、佐藤選手以外はスタートラインすらも通過出来ずに終了してしまいました。
続く第二ヒート、コンディションはさらに困難になり、第一ヒートで果敢なデッドヒートを見せた竹田選手がカイトを落とし、スタート前に戦線離脱。ギアを切り替え、ミスを警戒して流す杉原選手をスロカにボードを替えた川上選手が猛追。ゴールラインでは順当に杉原選手が逃げきり、トップゴール、続いて川上選手、米原選手が時間内にゴール。レースボードクラスでは後藤選手のみがゴール。ツインチップ・クラスはまたも佐藤選手以外はスタートにも困難する有様、もっとも、佐藤選手とはみんな使っている道具が違うので、奮わないのも当然と言えば当然なのですが…
ここで、一つ競技中にうちの若手に教えたアドバイスを一つ公開しておきましょうね。すごく基本的で簡単な事なのですが、競技中だと頭まっ白で気がつかない事がままありますので。
風向きの変化とコースの構成を良く見ましょうね
この日、多くのツインチップクラスの選手達がスタートラインを切る事が出来ず悔しい思いをしていました。その人達のうちどれくらいの選手がこの日、競技中に風向きが東北東から東南東にゆっくりシフトしていったことに気付いていたでしょうね?
朝方の東北東の風に合わせて、本部艇とスタートラインは、南北に延びる阿漕浦の海岸の、かなり南よりに設定されていました。風が東北東、あるいは東くらいだったら、スタートラインまで行くにはなんの苦労も有りません。でも、実は当日、風は徐々に南にシフトして東南東クロスになっていたのです。ということは、本部艇の位置までかなりアップウインドしなければスタートラインをカット出来ません。で、うちの若手は馬鹿正直に大会本部前から出艇して、死にものぐるいでスタートラインまでアップウインドしようとしていたのです。で、僕がしたアドバイスは単純明快「次のスタートまでにビーチの南まで歩いておきなよ。」というもの。その時間の風は海に向かって右クロスになっていたので、充分に南からスタートすれば、なにもアップウインド出来なくてもアビームでスタートラインをカット出来るからです。いったんスタートラインをカットさえ出来れば、その後、風のあるところを求めて移動できる海域は大幅に広がります。その広がった範囲の中からアップウインドが出来る領域を見つけて少しづつ、上に登っていくのが、微風コンディション下、ツインチップクラスのタクティクスでは無いかと思うわけです。というわけで、レースビギナーやこれからレースに出てみようと思っている皆さん。大会中でも常に風の変化を意識して、オーガナイザーの設定したコースに当てはめて考える習慣をつけましょうね。意外と全然しなくて良い苦労をしていたり、ちょっとした工夫で、それまでの失点を簡単に挽回できたりするのが、この手のコンディション相手のスポーツの醍醐味なんですから。
後編(二日目に続く)

2015年9月3日木曜日

クロノV2 7.0 インプレ


一昨日届いたクロノV2、昨日午後から雨が上がったのを見計らい、早速試してきたのでインプレッションをまとめてみた。

クロノV2は、衝撃的な微風性能とレースでの圧倒的なリザルトで、カイトボード界におけるフォイル・カイトへの見方を、ものの見事に塗り替えた「クロノ」が全面的な改良を施されて生まれ変わった第二世代モデルだ。恐ろしく細長く、スモールサイズは若干神経質な挙動を残し、時にユーザーに特別な取扱を要求する先代に比べ、V2はセッティングからライディングまで、あらゆる面での取り扱い易さと、飛行中の安定性に注力して仕上げられたと聞いている。実はすでに7月の頭にスペインで映像撮りの現場に立ち会い、現物は一度目にしている。ただ、あいにくその時は撮影最優先で、自分で飛ばす事は出来なかった。ようやく手に入れた現物を手に、わくわくしながら僕は海に向かった。
折からの前線通過で、風は強めの南南西8~9m。昨晩から風が吹き続けているので海面はチョッピーで、すでにライディングしていた仲間の言によると、レオ9でジャストアンダーからオーバーで結構ガスティとのこと。予想通りのコンディションに、持参した7.0を早速広げてみる。バッグの形状やカイトの外観はR1に非常に良く似ている。それもその筈、R1とクロノV2は、もともとクロノ2を作る為に用意された複数のプロトタイプから、それぞれ違う道を歩む事になった兄弟カイトであるからだ。カイトを広げ風上を折り曲げ砂を載せ、ブライダルをチェックする。クロノV2はクロノやR1と異なり、サスペンション・ラインに被覆のある少し太めのラインを使用している。ブライダルを持ち上げてピンと張るだけで、絡みはぱらぱらとほどけるので、扱いは相当楽になっている。実は取扱だけでは無く、被覆があるだけで、ラインの寿命もぐっと伸びる。また、傷がつく時にはたいがい被覆が傷つくので、破断してしまう前に交換の必要に気付くのも慣れないユーザーには優しいポイントだ。
バーは2015タイプのフォイル・バーに500/300kgの25mライン。R1のコンプリートが300/300kgのレース・ラインであるのに対して、やはりクロノV2は耐久性重視だ。バーはレース用とフリーライド用があるが、それぞれ、2015コンタクト・ウォーター・バーにフォイル用のブレークハンドルを取りつけた仕様になっている。つまり、インフレータブル用のコンタクト・バーにブレークハンドルを取りつけてフォイル・カイトに使う事も、フォイル用バーでインフレータブルを飛ばす事も双方問題が無いという事だ。今回、7.0の試乗カイトに僕はフリーライド・バーを選択した。理由は後ほどライディングのインプレッションで述べる事とする。
ランチング
風が強いので、カイトをエッジよりから上げる。実はフォイル・カイトのランチングはいつでもまっすぐ風下から上げると勘違いされている向きがあるのだが、それは間違い。風が強い時はやっぱりエッジ・オブ・ザウインドから上げる。どうするかというと、カイトの風上側のチップを折り曲げて、砂を載せスパン方向が風に沿うように広げてやる。そこからラインをまっすぐアビーム方向から30〜40度くらい風上に伸ばし、準備が出来たらカイトの風下側から風をはらむようにゆっくりとラインを張ってやる。するとカイトが風を受けて、砂を載せたチップを基点に立ち上がるので、その状態でバランスをとってやりながら、砂を払い落とし、ゆっくりカイトを上げてやるのだ。試してみると、あんまり簡単なんで、みんなびっくりするだろうと思う。
でクロノV2を上げてみたところ、びっくりしたのは僕の方だった。クロノV2はラインを張った途端あっという間にカイト全体に空気を取り込み、わざとバー操作をルーズにしたのにチップが潰れるような事もなく、スッとランチングしてしまったのだ。ランチングが楽になるとオゾンの担当者に聞かされていたが、まさか、これほどとは…という程のあっけなさだった。
空中のカイトを見上げると、アスペクト比はR1やクロノよりも抑えられている事が見て取れる。翼としてのスペックをオゾンは発表していないが、ハイアスペクトの矩形翼を連想させたクロノに比べ、曲線の美しい楕円翼に近い。バー操作に対する反応は予想外にマイルド。実はフォイルカイトのスモールサイズを飛ばす時に危惧していたのは、ハンドリングがピーキーになってしまわないか? という点だった。ラムエアーカイトはトレーリング・エッジを引き込んでターンするという仕組み上、小さいサイズの操作性は神経質でピーキーになりがちなのだ。その点、こいつは、実に程よい反応になるよう、良くチューニングされている。これには、この春からオゾンのバー・ラインナップに加わった38cmバーが効いているだろう。そう、クロノV2のラインナップ中、唯一7.0だけが、38cmバーとのコンプリートなのだ。
地上でカイトを上げ色々試した後にふと気がついた事がある。「風、全然ガスティじゃないじゃん?!」後で確認したら、やっぱりこの時もガスティを感じるコンディションだったらしいのだが、風の強弱をほぼカイトが吸収してしまっているようで、カイトから伝わるパワーフィーリングは実にスムーズかつマイルドなものだった。そのまま、水に入り132cmのツインチップで走り出すと、パワーは充分。一振りでスタートして、そのまま巡航に入る。漫然と走ってフィーリングを掴んでみる。とにかく、素直で安定していて、扱い易いパワーを常に供給してくれる。コンディションに対してはトリマーを数cm引いたあたりがベスト。全部伸ばしてしまうと、失速こそしないけど、要所要所でカイトが前に出ようとするきっかけをつぶしてしまうので、ジャンプかダウンウインドの時にしか使わないレンジという印象。アップ角は漫然と走っている限りは、普通にインフレータブルよりも良いというレベル。たぶん、エッジできっちりアップウインド取った時と同じくらいかな? ん〜なんか物足りないかな? と思って、トリマーを調整しなおして、真剣にアップウインドを意識した動きに入ったら、突然アップ角が明らかに変わって、凄まじい勢いで登り始めた。(あ、やっぱり、これはクロノだ…)と思い、たっぷりと海岸を距離を取ったら、今度はトリマーを全部伸ばしてダウンウインド。これは、V2ならではの安定感と、低速性能で、かなり快適。折から波の高い海面だったので、遊び心が生じ、レオばりのオンショア・ウエーブライディングまがいの動きも試してみるが、これがまたちゃんとついてくる! 正直、先代クロノで波の中でぐりぐりターンなんて、絶対やりたくなかったのだが、V2ではなんのストレスも無く楽しめる。
岸近くまで戻って来て、もう一度アップウインドレグに入ろうと、トリマーを、今度は全部引いてみて驚いた…全然走るのに足らない! レースバーじゃないから大して調整幅は無いはずなのに、さっきまでふんだんに足りていたパワーがスカスカになってしまうのだ。いやこれは強風側に、まだだいぶ余裕がありそうだな、と思いつつトリマーを少し戻してライディング続行。
実は7に対してレース・バーではなくフリーライド・バーを選んだもの、そのあたりが理由で、ハイアスペクトでコード長(翼の前後幅)の短いスモール・サイズの場合、レース・バーの、あのバカ広い調整幅があっても使えなくね? と思ったからだ。案の定、低速側はこれ以上伸ばしても、カイトが失速してしまって、かえって使いずらそう。欲を言うと、高速側(トリマーの引き側)はもう少しレンジが有っても良いかな? という気がするけど、特に本格的にレースをするので無ければ7はフリーライド・バーで充分用が足りそう。
一通り試して、現場に居た仲間にも試してもらった総合的な印象は、クロノV2は普通のカイトボーダーにも楽しめる、ウォーター・リランチャブルのフリーライド・ラムエアーカイトに仕上がっている、というもの。もちろん、取扱に違いはあるし、インフレータブルみたいにバンバン落としても大丈夫! というものでは無いけれど、とりあえず、飛ばしてライディングするのに何か、気をつけなければいけない所があるかというと、そんな事は無い。肩肘張らずに素直にライディングを楽しめるフリーライド・カイトとして仕上がっている。反面、これまでクロノやR1を飛ばす時に感じていた、どこか「今、俺が飛ばしているこいつは、選ばれたものしか使いこなせない超高性能の特別なマシーンなんだぜ!」 的なオラオラ感は全く有りません。そういう感覚に浸りたい方はR1を選ぶか、クロノの中古を探してください。
今回は海面が荒れていたのでツインチップで試したのだが、クロノV2が格段に生きるのは、たぶんハイドロフォイルと組み合わせた時だと思う。今回のテストでも、カイトに対してツインチップボードがついて行けずに足を引っ張っている、というクロノやR1の時に顕著に感じるフィーリングが、うまく抑えられているものの、それでも意識を切り替えてアップウインドを始めると、これまで見せていなかった本当の性能が引き出されるのを体感した。レースボードやハイドロフォイルと組み合わせると、これがもっともっと顕著に現れるのだろうと思うと、次にハイドロフォイルと組み合わせて試すのが楽しみでしょうが無い。あの桁違いの安定感と変わらぬ高性能から想像すると、本当にギリギリ微風でのハイドロフォイルには、本当に安心して使える一枚になりそうなのだ。実際今から、今度はどんな微風の日にクロノV2を試しに海に出ようか? とウインドグルを見ながら風の弱そうな日を探す日々を送っている今日このごろなのである。

2015年6月14日日曜日

カイト・ハイドロフォイル、翼好きにはたまりません!

昨年からボチボチ練習を始めたハイドロフォイル、ようやく、走りながらじっくり水中のウイングの様子を体感したり、操作に対する反応をチェックしたりする余裕が出て来て、カイトとの相性も体系的なイメージが出来てきたので、ここらで一度まとめておこうと思いキーボードに向かっています。

まず、あまり聞き慣れないハイドロフォイルについて、少し説明しましょうね。近年カイトボード業界の一角で熱い注目を集めている、まぁ、一言で言ってしまえば水中翼船です。1m近いマストの下に主翼と尾翼を備えたウイングをセットしたボードに乗り、速度が増すと、ボードは浮き上がるので、接水抵抗極小の状態で滑走できる、かなり特殊なボードです。主翼のスパンは50cm強、尾翼は30cmくらい。胴体は直径2cmくらいで、マストは厚さ1cm程度。当然ティアドロップの断面なので、流体の中での抵抗は数mm相当でしょうねきっと。こいつに支えられてボードと人間は宙を浮いて走るので、滑走時の抵抗は極小。カイトボードにつきものの、水はねの音や水しぶきは一切ありません。また、ウイングは水中、ボードは空中なので、水面の乱れから来る震動も一切無し。ディープパウダーを滑るスノーボードに喩えられる、その乗り味は水上スポーツでは他に似たものは無いでしょう。

で、ここまでに感じた事を簡単にまとめてしまうと、まず、夏の風には最強のビークル(フリートと言うべきか?)です。それと、翼(ウイング)好きに、これほど贅沢なおもちゃは有りません! 
微風最強という評価はすでに定評となっているので、もう少し掘り下げて語りましょう。昨日は3~5mの南西風。海上には白波も出ているし、体感もいけそうなのだけど、空気は水分をたっぷり含んで軽いので、カイト(エッジV8 10.0)を上げてもまっすぐ真上でとどめておくと落ちてきてしまう難しいコンディション。それでも、いったんスタートしてボードが浮いてしまうと、まったく問題無く自由自在に走れます。少し風が上がってから、仲間がゼファー&微風用サーフボードで、ようやく出た所に帰ってこられるくらいの風では、もう全くジャスト、風が足りないと感じる事は全く有りません。なるほど、ハイドロフォイルのライダーからフリーライドにはもう必要無いと、エッジ13が帰ってくるのも納得です。ということは、これ、ハイドロフォイルの出現で夏場のカイトボーダーのオプションが一つ増えたという事になります。つまり、ゼファーなどの微風用カイトと微風用のデカボードを買う代わりに、ハイドロフォイルを手に入れれば(それと真面目に練習すれば…)微風用カイト&デカボードよりも遙かに弱い風から自由に走れてしまうという事です。
ここで、良いことばかりでは無い事を一点申し添えておきましょうね。今回気がついた、なにゆえ、ハイドロフォイルの相棒にかくもハイアスペクト・ラムエアーカイトがもてはやされるか? に関する論考です。実はハイドロフォイル、アンダーにはものすごく強いですけど、オーバーはすこぶる苦手です(すくなくともビギナーには…)。ですから通常のカイトボードに比べて常に小さいサイズのカイトを上げて練習することになります。みんなが10や12で走っている時に8や7で走るのは全く問題ありません。でも、皆がゼファーやエッジ19でようやく走るくらいの風の時にインフレータブルの10㎡あたりを持ち出すと、まず”飛ばしておくのが困難”なのです。僕は怪しい風の中、カイトを飛ばしておく事については、かなり自信があるほうなのですが、それでもかなり気を遣ってカイトを失速させないよう操作していました。 同じ風でもゼファーやエッジの大きいサイズなら、そこまで気を使わなくても良いのですが、それでは走り出した後にハイドロフォイルにはオーバーになってしまいます。この風の中、10や11でも全くけろっとして空中に浮いているクロノやR1を組み合わせると本当に快適! 逆にもっと微風側を攻められるものだから、限界を割ってしまって、カイトを回収してパドリングで帰ってくる羽目になる事があるくらいです。(こんなとき浮力に余裕のあるハイドロフォイルボードは安心、おまけにフォイルが良いスタビライザーになるので、パドリング時のボードがすごく安定しています!)というわけで良いことばかりじゃないけど、夏の相棒としてはすごく楽しい相手であるという事がまず一点。
続いて、ウイング好きにはたまらないという点について論考。これまでも何度か言及したとおり、ハイドロフォイルボードはボードというよりもウイングで、ボードと人間はマストに支えられて宙に浮いています。で、その動力源は25m上空のカイト=これもウイング。つまり、ライダーは上空と水中の二つのウイングを駆使して水上を低空飛行している状態なのです。ハイドロフォイルボードのマストは通常80〜100cm。ウイングは水上に出てしまうと当然失速して浮力を失ってしまうので、ライダーはウイングのピッチをコントロールして、水上0mから60~70cmくらいの高さで水中翼を水平飛行させてやらなければいけません。想像してみてください。スパン50cm強センターコード10cm強の主翼を保つ機体を体重移動でピッチコントロールさせて水中で水平飛行させるイメージを。水中でのウイングの挙動は全くもって空中のそれと同じ、上昇しすぎて速度が落ちたら、ノーズ下げしてあげれば、直ちに加速しながら沈み始め、そこから水平飛行に戻ると地面効果さながらにハイスピードで水平滑空を始めます。もちろんピッチだけじゃなくて、ロールも全て体重移動で操作するので、ちょっと盛って喩えると、メーヴェの上に立って体重移動でウイングを操作するナウシカの気分です。おまけに、パワーソースは上空に控えたカイトなので、二つのウイングを同時に操作しながら水上数10センチを飛んでいくという事になるわけです。どうですか、これを読んでいるパラ&ハングフライヤー諸氏もちょっと興味を惹かれちゃったりするでしょ? 最近、あぁ、ハイドロフォイルとハイアスペクト・ウォーターリランチャブル・ラムエアーカイトの出現で、これまでのパラグライダーとカイトボードの経験は見事に一つに結実しているなぁ、なんて感慨にふける今日この頃なのでした。


2014年8月26日火曜日

点検日誌(クロノ18)




クロノ18の右翼が潰れやすいとのクレームを受けて、昨日フライトチェック〜今朝問題点を発見、修理しました。クロノは構造的にこれまでカイトボーダーや大半のカイトショップのスタッフの皆さんが扱ってきたものとは大分趣の異なるカイトです。というか、18くらいのサイズだとほとんどパラグライダーみたいなもんです。たぶん、調子が悪いと漠然と感じても、どこに問題があるのか、何を直せば良いのかさっぱり判らない事もあるかと思います。そこで、今回の事例の発生から解決までの過程を公開しておくことは、今後新たにクロノユーザーになった方の助けになるかと思い、経過を記録し、ブログにて公開する事としました。興味をお持ちの方はご一読いただき、今後のカイトライフの参考にしていただれけば幸いです。

クロノの右翼が潰れやすいという第一報を聞いた時に最初に思いついたのは内部に侵入した砂の可能性です。クロノのエアインテークはメッシュで閉じられていますが、目の細かい砂や、波に洗われたりすると、水と一緒に砂が内部に侵入してしまうことがあります。侵入した砂は飛んでいる内に次第にチップに集まって、細かいものは自然に外部に排出されますが、場合によっては、カイト内部に留まっている事もあります。そうなると軽さが命のフォイルカイトの場合、てきめんに悪影響が出てその部分が潰れやすくなったり失速しやすくなったりしてしまうので、チップ部トレーリングエッジに設けられたベルクロポケットから砂を取り出す必要があります。しかし、この事例の場合、砂はその原因ではありませんでした。次に考えられるのはサスペンション・ラインの一部に結び目が出来ていたり、何かが引っかかったりして、翼が奇麗に形成出来ていない可能性です。クロノのサスペンションラインは極めて細いので、本当に小さい結び目が出来ていたりすると、判らずに飛ばしてしまうことも、なきにしもあらずです。良く点検してもらいましたが、これも無し。となると、考えられるのはどこかのラインが間違って組まれている可能性か、どこかのラインが伸びてしまって(一部が木や草にひっかかったりして強い負荷がかかったりすると起こり得ます。)バランスが崩れたりという事が考えられます。これを点検するのは、左右のラインバランスを点検するのが有効なチェック法です。まず、ブライダルを揃えて何かしっかりしたものに固定します。続いてカイト側に回り込み、アッパーサーフェス側に立ってラインのカイトへの取り付け点ごとに左右のラインの延長が同じかどうかを全てのラインについてチェックします。でも、実はこれ、オゾンの工場を出荷するときに全数チェックされているので、使用後に起こったバランスの崩れをチェックする場合に有効という事になります。案の定、販売店において、このチェックをしてもらいましたが、やはり原因は見つからないとのことで、結局このカイトは僕の手元に送られてきて、僕自身点検することと相成りました。

まずすべきことは点検よりも先にフライトチェックです。ユーザーが不満を感じている現象が実際に起こるのか、それは本当にカイトの問題なのか、それとも原因が他にあるのかを見極めなければいけません。実際にカイトを上げてみると確かにチップ部分が潰れます。ただし、クロノのチップが潰れやすいのは結構元々。アスペクト比7.0で、この薄翼だから、ランチングや、ちょっとした挙動で潰れるのは、まぁハナから承知の上でのデザインです。で、このカイトの場合、確かに右翼のチップが左に比べて弱い。普通にライディングすると、ついつい無意識に修正して操作してしまうので、普通に扱えるのだけど、わざとカイトと対話しないで、漫然と飛ばしてやると右翼がちょっとした事で潰れようとします。翼に目に見える変形は無し。バーを引いた時のトレーリングエッジの変形には若干左右に差がある。してみると疑わしいのはブレークラインの左右不均衡ですが、左右のターン操作、バーの前後動作を試してみると、左右のブレークラインに効きの差は無い。また、バーを引いてブレークラインが引かれている時には全く問題の症状は起こりません。つまり、この問題はバーが引かれていない状態でのみ起こるという事になるので、疑わしいエリアは右翼チップ部トレーリングエッジよりを支えるライン群、B9~12、C9~12あたりと目星を付けました。でも、この辺りのラインの1本、あるいは数本だけの長さが狂っている場合、明らかに飛んでいるカイトの翼面に皺が出来ます。というかそもそも点検段階ですぐに発見出来るでしょう。という風に問題のある箇所を絞り込んでいくと疑わしい場所がだいたい判ってきました。一番の容疑者はブライダルのスピードシステム。プーリーを使ってバー操作をしたときの挙動を各ラインごとに減速して伝える部分です。ここのラインが狂っていると、B,Cライン全体の挙動に大きく関わってくるので、カイトに一見皺や、変形が見えなくても翼全体の形状が微妙に変形してしまいます。次に疑わしいのがチップに繋がるB12,C12あたりのライン。この2本は一番外側に着いているので、多少本来の設計からずれていても、ひと目見ては翼が変形しません。特にC12あたりが長すぎると、翼端は急に潰れやすくなります。と、ここまで目星をつけたところで、チェック作業は終了。風が吹いているビーチでラインチェックをしても作業がしづらいだけなので、点検そのものは翌日に持ち越して、その日は、ちょうど吹き上がってきた風の下、講習生の指導とライディングを楽しみました。

翌朝、まだ空気が動き出す前に庭にクロノを広げて点検を始めました。まず最初に最も疑わしいブライダルをチェック。細引きを使ってブライダルを一つにまとめてフェンスに固定して、左右のラインの長さ、プーリーの位置を比較します。すると…おやおや、PB1ラインにかかるプーリーの位置が右側の方が僅かに遠いではありませんか。(いきなりビンゴか?)と思い、今度は固定したブライダルを外し、左右のブライダルをばらして、ライン同士を比較してみました。すると案の定、右のPB1ラインが左より3cm長くなっています。3cmというといかにも長いように思えますが、このライン、折り返してプーリーを介し、Cラインで1/2、Bラインで1/4に減速する仕組みになっているため、ブライダルからカイトまでの総延長で発生する誤差は、Bラインで15mm、Cラインでは7.5mmです。正直出荷時点検で気付いて欲しかったとは思いますが、結び目の位置や、ラインを引っ張る時の力加減で、誤差の範囲内として見逃してしまう可能性もなきにしもあらずのレベルです。問題さえ見つかってしまえば修正は簡単。一方のループをばらしてラインを短く作り直して、元通りくみ上げて、左右のアンバランスが解消されているのを確認して作業は終了。本当はテストフライトをしたいところですが、秋雨前線がかかってしまった関東は数日天候不順の為、テストフライトは販売店にお願いしてカイトを送り返し、一連の経過をオゾンに報告して終了。オゾンではたぶん、今回のシリアルナンバーと同じロットの他の製品に問題が無いかをチェックして、必要があればテクニカルノートを配布することになるでしょう。

という風に、クロノはこれまで慣れ親しんだインフレータブルカイトとは異なる、結構デリケートなバランスの上に成り立っている製品です。(正直、実はインフレータブルだって決してデリケートで無いわけじゃありませんが、バランスが崩れても構造上修正のしようが無いというのが正直なところ…)何かおかしいかな? とか、どうも左右のバランスが取れていない? とか感じたら落ち着いて頭上に上げたカイトを良く観察してみて、必要な場合は僕がしたような手順で問題点をさぐってみてください。問題がある場合に、割と見える形でそれが発見出来て、簡単に修正できるのはむしろフォイルカイトの利点でもあるんですよ。